今日も知らない街を歩く

雑記に近い形でちまちま書いていきます。

好きな食べ物第3位の水餃子について語る

※この記事は 「餃子 Advent Calendar 2018」の記事です。 

 

  好きな食べ物第3位*1の水餃子について語ります。

 

  僕が好きな水餃子は、自宅で食べる水餃子です。以下、自宅で食べる水餃子について書きます。

 

  まず、以下のものを用意します。

  • 冷凍餃子
  • ポン酢
  • ごま油

   鍋に水を入れて火をかけます。沸騰したら鍋の中に冷凍餃子を入れます。 4・5分程度経つと、皮が透けて浮かび上がってきます(この時餃子を放置していると、鍋の底に冷凍餃子が張り付いてしまうことがありますので注意してください。時々お玉でかき回してやると良いでしょう。)それから1分程度更に茹でればできあがり。*2

 

  次に「水餃子のタレ」の準備です。少し深めのお皿に、ポン酢とごま油を入れます。ポン酢を入れたら、ごま油は少し軽めに垂らす程度で充分です。

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こんな感じです。

茹で上がった餃子は、穴あきのおたまで水気を切って皿によそいます。

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できあがり。あとはタレに付けて食べるだけ。

 

  この食べ方は、もう20年以上前に両親が自宅で作ってくれたやり方です。その美味しさに病みつきになり、餃子ランキング1位をこの水餃子が獲得し、以来20年以上地位を明け渡していません。

  冷凍餃子は、水餃子用でなくても構いません。焼き餃子用でも充分美味しく食べられます。オススメはいくつかあります。以下、紹介。

 

餃子の王国

 

普通に焼餃子としても美味しいし、水餃子にしても美味しい万能型です。特に肉が好き。

 

○老李

老李 『台湾料理専門店 長崎』 Lao Lee Group

こちらは冷凍の水餃子。もちもちした食感が水餃子としての旨さを増しています。

 

  水餃子は油も使わないのでダイエット食としてもいい線いってるんんじゃないかと僕は思っています。水餃子にポン酢とごま油という食べ方がどれだけ広まっているかわからないのですが、少しでも世に広まってくれるようにと願って、このエントリを書きました。

 

  冬は鍋の季節です。僕の中では水餃子も鍋料理の一つです。

  そろそろ冷凍餃子が尽きそうなので、また追加注文しようかな。

*1:1位と2位については、どこかで機会があったら書きます。

*2:皮が透けて浮かび上がった段階だと、まだ中の肉が凍っていることがありますので注意してください。

文章と向き合い直すためのクリエイティブ・ライディング講座 -今年やってよかったこと-

※本記事は「今年やって良かった事2018 Advent Calendar」の12/11 分の記事です。

 

  今年は、文章と向き合い直した年でした。向き合い直して本当に良かったです。 

 

  もともと僕は文章を書くことが好きでした。どちらかと言えば「文章書くことが好き」というよりは、「人と話すのが苦手」と言ったほうが正確かもしれません。文章であれば、

  • 自分の思考を考えてから正確に言葉に書き表せる*1
  • 相手の言葉を持って適切な返事を返すことができる


  といった利点があります。だから僕は、話すことベースの電話が嫌いだったし、書くことベースのパソコン・ワープロが大好きでした。加えて、自分の字が汚いと言うのも、僕がパソコン・ワープロが大好きな理由です。

 

  ただ、「文章が面白い」と褒められる事はありましたが、自分自身、なにかを身に着ていったとか学んでいったとか、書くためのスキルが向上しているのかは、あまり手応えが感じられませんでした。本当に自分の書いた文章は面白いのか、もっと良い文章が書けるのではないか。

  一度、きちんと文章を書くことに向き合おう。そう考えて参加したのが、作家の小野美由紀さんが主催する「クリエイティブ・ライティングスクール」です。

camp-fire.jp

 

  クリエイティブ・ライティングスクールでは、1ヵ月に1度課題が出されます。その課題に沿って参加者はそれぞれ文章を書く、というものです。参加して良かったといくつかあるのですが、特に良いと感じたこと2つあります。

  1. 参加者同士でフィードバックし合うことで、感想を言語化する思考を養える
  2. 「書き直し」という概念を知ること

  ある1つの課題に対して投稿した作品は、他の参加者全員に共有されます。それらの作品を見て、(批判はせずに)どのように感じたのか、他の参加者はフィードバックをします*2。同じテーマでも、エッセイだったり小説だったり表現形態は様々ですし、例えば「会話をさせてください」という広いテーマであれば、内容はほぼフリーなので、参加者自身のテーマが浮き彫りになります。他の人の作品を読むのはとてもおもしろく、またフィードバックを行うにあたって「この文章のどこが、どういったところが自分の琴線に触れたのか」を見極める作業は、文章を書く上でのヒントになりました。

 

  課題で書いた作品については、フィードバックと講師の小野美由紀さんのコメントを受けて、「書き直し」を行います。ブログの文章を書く時、どのように直せば良いのかというところがあまりよく分かっていなかったので、この作業はとても新鮮で有意義でした。書き直しをした結果、構成が違ってくるものもあれば、そもそも最初に書いたものとは全然違う内容になったことも驚きました。いくつかは、書き直してノートやブログにもあげました。以下が投稿をして書き直しをした作品です。

note.mu

 

note.mu

 

  ずっとT-SQUAREが好きだったのですが、これまでT-SQUAREに関する感情を文章化した事は1度もありませんでした。インストゥルメンタルとううボーカルが無い曲で、どのように良さを説明すれば良いのかわからなかったからです。僕には音楽の知識が無いため、技術的な話は書けません。

  ではどうやって伝えたらいいか。考えるべきは「自分がどれだけ感動しているか」ということをどうやって書くか、ということだけでした。結果として(どこまで伝わっているかわかりませんが)自分がT-SQUAREが好きだと言う事はしっかり書くことができたという手応えがあり、満足度は高かったです。また、試しに書いてみた小説が思いの外好評で、筆が乗ったのも意外でした。人狼TLPTでファンアートの一つとして小説を書いた事はありましたが、オリジナルの小説を書くのはこれが初めてでした。まだ完成させる自信がないので、「なろう」に投稿するのはまだ先になりそうですが、これだけ書いたのだから、一度は完成させて投稿したいと考えています。たとえ客観的にはうまくできていなくても、「小説を書く」と言う事は、子供の頃から自分がやりたかったことに他ならないということに気づいたからです。

 

 

  文章書く事は自分と世界と向き合うことだと僕は考えています。どのように向かい合うべきか。それを改めて考えさせてくれたのは、クリエイティブライティング講座だと思っています。来年以降も、どうやって自分の文章と向き合うかということを引き続き考えていくつもりです。

  

今日書きたいのは、こんなところです。

*1:もちろん全て正確に、ということはありませんが、少なくとも話すよりはずっと正確に表せると感じていました。

*2:ちなみにこれらの作業は、Google docs上で行われます。現代ならではだなあと感じます。便利。

ひ弱なぼっちが自己回復を行う儀式としての筋トレを続ける方法

※この記事は 筋肉 Advent Calendar 2018 12/8 分の記事です。

 

  もしこの記事を読んでいるあなたが、学生時代に体育の授業が大嫌いでスポーツをやるのも嫌だ、と思っているのであれば、伝えたいことがあります。

騙されたと思って筋トレしろ」です。

 

  運動が苦手で大嫌いな僕は、スポーツうまくできず、当然体育の授業も大嫌いでした。個人種目ならまだしも、バレーボールなどの団体競技となると、足を引っ張りクラスメートに煙たがられてしまい、毎時間、針のむしろに座らされている気分でした。

  20代の頃、「体力をつけよう」とジムに通ったことがあるのですが、時間の確保もうまくいかず、身体的にも全然変化が感じられなず退会し、お金を捨てるような結果になってしまいました。今思えば、ジムに入会しただけで、筋トレをするための正しい情報も筋トレを続けるための環境もきちんと整備できていなかったから、こういう結果になってしまったのだと思います。

  そこで今回は、どうすれば筋トレを続けられるのかといったことを、自分なりに書いてみます。

 

 1:徹底的にフォームを教えてもらう

 まず、有識者に教えを乞いましょう。有料だったとしても、最初は必ずちゃんとトレーナーにやり方を確認してください。YouTubeなどで動画は上がっていますが、自分がちゃんとフォーム通りにできているかどうかは、自分ではわかりません(自分が運動が苦手で、身体をうまく使えないのであれば、なおさらです)。自分のフォームのチェックは想像以上に難しいので、きちんとトレーナーに見てもらい正しいフォームの感覚を掴みましょう。

  また、(特にこれは運動ができない人に特有の話だと思うのですが)、運動が得意な人に対する苦手・恐怖意識がある人は少なくないと思っています。だからこそ運動が得意な人に教えを請うことで、運動が得意な人に対する苦手意識を払拭するという狙いもあります。少なくとも、ジムのトレーナーにとってあなたはお客様です。正直に運動が苦手であることを伝えれば、きちんと優しく教えてくれるはずです。

 

2:好きな種目を見つける

  ベンチプレス・スクワット・デッドリフトといったコンパウンド種目、あるいはアームカール・レッグカール・ラットプルダウンといったマシンを使う種目でも、何でも良いのですが、とにかくいろいろ試してみてください。その中で、「自分がすごく大変だけどやりきれる種目」「全然できなくてすぐにへばってしまう種目」のどちらかがあったら、それらを集中的にやりましょう。前者は「これなら自分でもできる」という達成感に繋がりますし、全然できない種目は、筋トレの効果が出てくるのが相対的に早いからです。

  僕の場合、脚の種目が得意で腕の種目は苦手でした。スクワットやレッグカールはそれほど続けるのが苦痛ではないため、実行するための気力が比較的少なく、続ける助けになりました。一方、アームカールやフレンチプレスが全然上がらず苦手だったのですが、特にフレンチプレスは、腕が太くなる・重量が上げられるペースが上がるなど、効果が出やすかったです。こういった変化を感じられる種目を見つけることは、筋トレを続けるモチベーションになりえます。

 

 3.記録・習慣化のアプリを使う

  アプリは何でも良いのですが、とにかく筋トレをしたら記録をしてください。そうすることで自分がどれだけできたのかを可視化し、振り返りができやすくなります。

  僕が使っているのは「Library」という筋トレ用のSNSです。

library.fit

  筋トレの種目を入力して投稿ができるアプリです。このアプリの良いところは、結構な確率で「いいね」がもらえることです。この効果は想像以上に良くて、励まされている気分になります。僕もタイムラインで筋トレの記録が流れてきたら「いいね」を押しています。「お互いよくやったな」と思えるので、ぜひ筋トレを始めたらやってみてください。

 

自己回復としての筋トレ

  明確な成果が出ること、今までの自分の考えが間違っていたことがわかること。それが僕が筋トレが好きな理由です。かつての自分は「一生運動はできないもの、自分には縁がない者」という考えに凝り固まっていました。それを変えてくれたのが筋トレです。筋トレをすることで、僕の体は少しずつ腕に張りが出てきて足に筋肉がついてきました。人から見れば僅かかもしれませんし、実際に日本人の平均男性の中では、まだ筋力も体力も低い方でしょう。それでも、自分にとっては、昔の自分よりも明らかに筋肉が付いて贅肉が減っていることが確認できて、今まで自分が見ていた世界が違うもの見えてきたのです。

 

  もしあなたが「運動が大嫌い」というのであれば、一度筋トレを1ヶ月間試しにやってみてください。当たり前ですが最初からうまくはできないでしょう。ですが、それでも少しずつ続けていくにつれて、体が変わっていきます。これは本当に面白い体験です。  そして体つきが変わる事は、自分の経験が、自分の思考が少しずつ変わっていくことに他ならないと確信しています。

 

ウイダー マッスルフィット プロテイン ココア味 (900g) 特許成分 EMR配合

ウイダー マッスルフィット プロテイン ココア味 (900g) 特許成分 EMR配合

 

  僕は好きなプロテイン。これが一番溶けやすくて美味しいと感じました。 

 

ザバスプロテインシェーカー (500ml)

ザバスプロテインシェーカー (500ml)

 

シェイカーはこれ使ってるんですが、違いとかあるのなら知りたいです。

 

 

モビバン(mobiban) モビバンEXブルー(一般向け) MV008 BL

モビバン(mobiban) モビバンEXブルー(一般向け) MV008 BL

 

 基本的にはジムでトレーニングしているんですが、出張などでトレーニングができないときはこれを持っていって背筋や腕のトレーニングをしています。自重トレーニングはまだわからないことが多いので、今後はこの辺も学んでいきたいです。

 

 

  今日考えているのは、そんなところです。

今年はちゃんと振り返りをしたい 11月編

もう師走ですね。1年早いよ。

 

11月:愚者(逆位置) -計画通りにいかない・消極的・優柔不断-

 11月は確かにぼんやりとした月だったなあという感触です。バックギャモンの名人戦が始まったり、アルティメット人狼の予選を受けたりなどイベントごとはそれなりにあって楽しかったのですが、思い描いていた通りの計画を持って実行できたか、というと正直首を傾げざるを得ません。

  運動:節制こそそれなりにできたけど、運動量が足りず筋肉は現状維持

  執筆:明らかに筆が止まっている

  読書:本1冊程度、レビューもなし

 

  ということで、今後の生活とか人生とか考えると大事な諸活動に全然時間を割けていなかったなあと反省しきりです。ただ一方で、スーツ・カバン・PCの新調を月末に行って、特にPCは新調したおかげで諸作業が捗り、整理整頓が進むという効果も出ているので、「消極的・優柔不断」というのはあまり当てはまらないのかな、とは思います。

  逆位置のカードに対して、明確に違うと言えたのはこれが初めてかも。

 

そして今年最後の月、12月は

 

12月:太陽(正位置) -潜在的な可能性・成長・繁栄・自己信頼・幸運- 

めっちゃいいカード。 鍵を握るのは、運動とAdvent Calendarかなと予想しています。久しく書いていなかったので、書くことに向き合います。

 

テーマカード:世界(正位置) -完成と統合・達成・願望成就・栄光・歓喜-

果たしてこのテーマカード通りに行くのか、それは神のみぞ知る。

今年はちゃんと振り返りをしたい -8月〜10月-

ちゃんと振り返りをしたいと思うも、3ヶ月間が空いてしまいました。

 

 

townbeginner.hatenablog.com

 

8月:女教皇(逆位置) -思い込みに囚われる・偏見・批判的・深く考え過ぎる-

  8月はどうだったかなあ。あまり当てはまる感じはありませんでした。T-SQUAREの40周年コンサートあり、バックギャモン足利オープンありと結構プライベートは盛りだくさんで楽しかったです。仕事は、予定していた内容が後ろ倒しになって、結果的に空きが増えました。その分、9月は死ぬんですが。

 

9月:隠者(正位置) -内省・思慮深さん・人には言えない悩み・内的成長・今後のことをじっくり考える -

  9月はバッチリ当てはまっています。「クリエイティブ・ライティング合宿」に参加したんですが、いかに自分の身体にアクセスして書いていくか、 どうやって書いていくか、書きたいものはなんなのか、考えて書くことができて、とても良い時間を過ごせました。9月は熱海のTRPGフェスティバル&WAR→P、後半仕事で死ぬなど、盛りだくさんの月でした。多分今年1年のハイライトシーンには入ります。

 

10月:悪魔(逆位置) -悪徳・強情・不純な動機・ぬるま湯から抜け出せない - 

  最後の「ぬるま湯から抜け出せない」が当てはまるかなあ。10月はバックギャモン王位戦や大阪出張などのイベントはあったものの、全体的に静かというか、目立った飛躍は無かった印象。ちょっと停滞気味でしたね。何にせよ、すぐに成長するとか成果が出るといった類の活動はしていないので、成果が見えないからといって過度に不安にならないようにします。

 

1年の最後二ヶ月は

11月:愚者(逆位置) -計画通りにいかない・消極的・優柔不断-

 

12月:太陽(正位置) -潜在的な可能性・成長・繁栄・自己信頼・幸運-

 

こんな感じです。体がなまっているので鍛えようと考えていた矢先に「計画通りにいかない」は厳しいなあ。少しでも多くジムに行く回数を増やそう。12月を楽しみにしながら。

 

 

胸焼けする絵文字、時代を生きていない僕

  定期的に「オジサンLINE」が話題になっている。

otakei.otakuma.net

  twitterとかでたまに流れているので目にするけど、胸焼けがする文章だと思う。年齢と性別でカテゴライズすれば、僕は間違いなく「オジサン」に入るからこの手の文章を書いていてもおかしくないのだけど、書いたことが無い。もし書こうと思っても書ける気がしない。理由は、どうしても馴染めないからだ。

 

文化に乗れなかった学生時代

  オジサンLINEは文面や内容などから様々な分析がされているけど、ほぼ必ず「絵文字」「顔文字」が要素として入る。PCからテキストベースでネットをやっていたので、顔文字は抵抗なく使えるけど、絵文字になると使い方がわからないし、デコり過ぎて読みにくいとすら感じてしまう。ガラケーは持っていたけど、友達も少なく持つ理由があまりなかったので、携帯を買うのも周囲に比べてだいぶ遅かった(携帯を買った一番の理由は、「就職活動で便利だから」だった)。PCに比べて機能も少なくキーも押しにくいと感じていたため、メール機能も対して使わなかったし、iモードなどガラケー特有の機能も殆ど使わなかった。 *1

  結果として、絵文字で会話するような文化を身につけることは無かった。馴染めなかった、という方が正確かもしれない。僕の10代20代は小室サウンドやコギャルが街を支配していた、らしい。「らしい」というのは、僕はこれらの文化に興味も持てなかったし、怖いとすら思っていたからだ。だから、生でコギャルを見たことが無いし、小室サウンドも大して聴いていない。かといって、オタクやサブカル文化にどっぷり浸かっていたかといえば、そうでもなく、エヴァも見ていない、完全自殺マニュアルも読んでいない、ということで、僕はただ一人で本を読んでゲームをしていた。

  僕は、どこの文化圏にも属することができなかった。

 

LINE文化の中で浮くガラケー文化

  おはようとかの挨拶をメールでするのが不思議だった。

  (わざわざメールでなんでそんなにやりとりするんだろう?)

  今ならわかる。「コミュニケーションのためのコミュニケーション」だからだ。この目的はコミュニケーションを取ることそれ自体であり、内容は副次的にすらなることがある*2。コミュニケーションにはこういった形態があるのだということがなかなか理解できなかったけど、今ならこの文脈でガラケー文化が花開いた理由を説明できると考えている。「電子メール」という非同期なツールはコミュニケーションのタイミングというコストを大きく減らし、「絵文字」という漢字以上の表意文字は、文字のコストを減らした。そして、絵文字によるメールのやりとりは、当時の若者の間で「コミュニケーションのためのコミュニケーション」として成立していった。

 

   細かいところは違うけど、LINEは「コミュニケーションのためのコミュニケーションを取るために特化したツール」だと感じている。スタンプは定型的なやり取り、意味合いを含むものが幅広く売られているのは偶然ではない。コミュニケーションを取るためには文章を書くよりスタンプを送り合うほうがスピーディで回数を増やせるからだ。

  そんなスピーディなスタンプ文化には、絵文字は情報量が多過ぎて馴染まない。ワンタップで遅れるスタンプとは、スピードも情報量も合わない。結果として、絵文字文化はLINEの中では「オジサンLINE」として異質なモノ扱いされていった。

 

  以上は、ガラケー文化を始めとして何の文化にも、何の時代にも乗れなかった僕の感想である。絵文字だらけのメールをしている学生時代の同期に、メールをやり取りする相手がいないことを馬鹿にされたことを覚えている。今、もしその同期がこういう「オジサンLINE」をしていたら、僕は暗い喜びを覚える。

  「お前は時代に乗れなかった僕を馬鹿にしていたけど、今度はお前が時代に乗れなくて馬鹿にされる番だからな!!」

 

 しかしその一方で、どの文化にも属せず、時代と生きた感覚の無い僕は、そんなオジサンLINEが眩しくも見える。あそこには、かつて時代を生きた、文化を生きた感覚が残っているんだろうな、とも思う*3

 

  時代に乗れない日々から20年以上が経った。来年で平成が終わるにあたって、これからTV番組などで「平成を振り返る」特集がされるようになったら、きっと時代を生きなかったことについてのしこりをまた感じるのだろう。

*1:フリック入力を何の抵抗もなくスムーズに身につけられたのは、ガラケー文化に浸かっていなかったからだと思う。

*2:念のために書いておくが、良い悪いという話では全くない。

*3:若い女性にちょっかいを出す事云々の話は置いといて。あくまで文体の話。というか、コミュニケーションのためのコミュニケーションという前提が成立してないから、そりゃ疎まられるよな、と思った。

おれが面白いと考えていることはこれだっ!! -クリエイティブ・ライティング合宿参加記録-

  作家が「缶詰」と称し、どこかのホテルや温泉宿に行き(あるいは編集者に連れて行かれ)、ひたすら原稿を書く、というのがある。そうまでしないと書けないのか、と昔は思っていたけど、今なら分かる。「日常」は細々とした「気にすべきこと・気になってしまうこと」が多過ぎるのだ。普段の場所でも原稿は書けるけど、それをずっと一日中、となると多分無理だ。食事とか各種の家事もしないといけないし、仕事に関連する本を読んで準備もしたいし、あと気になってるゲームの続きもやりたい。原稿を書いては休み、書いては休み休み休み、という感じで思ったように進められないことは容易に想像できる。

  だから「合宿」という言葉が出た時、直感的に参加を決めた。会場へは自宅から電車で十分に行ける距離だったけど、宿泊施設を利用して缶詰の体験をしてみたかった。

  これが、僕が9/23,24の三連休の終わり二日間に「クリエイティブ・ライティング合宿」に参加するを決めた動機である。

 

クリエイティブ・ライティング講座

  「クリエイティブ・ライティング講座」とは、作家の小野美由紀さんが月一回に開いている文章講座で、身体的なアプローチを含めた様々なワークを行い参加者自身の文章作品を作り上げていくという講座である。

  講座の詳細は以下のリンク参照。

onomiyuki.com

 今回は合宿という形式のため(合宿という形式を取るのはこれが初めてらしい)、1日目がワーク中心、2日目に実際に作品を作るというプロセスで書くことになった。

 

身体にアクセスするワークで木になる

  身体に関するワークは、もう一人の講師、青剣さんが担当。「からだ部」や「きがるね」という、身体的な活動を行うワークショップを開いているダンサーで、合宿の前半はこの身体的なワークを実施。

 

  やったことは

  • ペアで前の人は目をつぶり、後ろの人に動かしてもらう
  • 一列でつながり、一番前の人が一番後ろの人と鬼ごっこ
  • 適当な擬音を出しながら動作をして、相手はそれに合わせて動作する
  • 全員中央に集まり互いに力を抜いて座り、一つの木になる

といったもの。

過去の活動レポートが写真付きでアップされていたけど、

きがるねレポート

だいたいこんな感じ。

 

子供の頃の作品を思い出すワークで童心に帰る

  身体的なワークショップで体をほぐし、心なしか気分が晴れた感覚になった。続いてのワークは「子供の頃に書いたものを再現してみる」ワーク。昔書いた絵日記や読書感想文を再現して、他の人は感想を互いに付箋で書いていく。

  例えば僕の場合は

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  • 日記で姉に対する不満を書いたけど、先生は全くそこに触れてくれずに不満を持ったこと
  • 小学一年生の頃に(書いた経緯はすっかり忘れたけど)タヌキがパンを届けに行く童話

  これらの作品に対しする他の参加者からの質問に答えることで、少しずつ自分が何が好きだったか、何が面白いと思っていたのか、何が嫌だと思っていたのか、感情を少しずつ思い出して行く旅に入っていった。

 

即興大喜利ワークをして、話をでっち上げるのは楽しいと確信を持つ

  その後はいくつか文章に関するワークを行っていく。

  •   3人一組になり、よくわからない絵が書かれたカードを渡され、それを元に即興で文章作品を作る。詩・エッセイ・ルポ・川柳なんでもOK*1
  • ある音楽を聴いて、思いついたことを書く。音楽に関する感想はもちろん、インスピレーションで浮かんだことなど、なんでもOK。
  • 4人一組になり、単語と形容詞をリストアップし、タイトルだけ決めたら横の人に渡して、渡された人は2分間でそのタイトルの小説を書き、次の人にパスし、リレー形式で書いていく*2
  • 2人一組になり、相手が話した思い出のエピソードを元に紙粘土細工を作る。その後、別のペアの人がその紙粘土細工だけを見て、思い浮かんだ文章を書く(これも形式は問わない)

  これらのワークは収穫が多かった。自分がどういう時に筆が進むのかよくわかったからだ。

  • 一定の情報量を得られる時
  • 客観的な事実を元にでっち上げの話を作れる時
  • 一見なんにも関係の無い2つ以上の事柄がリンクできた時

   僕の書いた作品は小話が多く、構成を立てて書いていって、というように考えること自体がとても楽しかった。ある一つの物語、まだはそれに付随するシーンを思い浮かべ、書いていくのが好きなんだと思った。試しにワークで書いた作品を今振り返ってみたところ、少し単語やフレーズは見直したいと思ったけど、書いたものの着眼点や構成は今でも気に入っている。

  情報を繋げて話を作り構成を考えることは、とても楽しいことだと思ったし、そこから新たな着想が出てきた。僕の場合、着想は最初に出るのではなく、構成から生まれるのだろう、と感じた。

  こうして1日目のワークを終えた。懇親会も兼ねた夕食は、童心を保つためにオムライス*3とノンアルコールビール*4を頼んだ。

 

  書きたかった小説をひたすら書く

  2日目は再び身体のワークを行い体をほぐし、いよいよ作品作り。もともと書いていた小説の続きを書くつもりだったので、ひたすら没頭して書いた。長編小説ということもあり章の途中までしか書けなかったけど、振り返ってみたら4700字近く書いてた。時間は確か1時間程度だったと思うので、間違いなく集中して書いてた。

  感覚的にはうっすらとゴールが見えつつ、脇道の色々なイベントをこなしながら走っている感覚だった。途中、構成を入れ替えて新しいネタに気付いたり、様子を表現すべきフレーズをひねり出したり、最後の最後で敵キャラがご乱心したり、心と頭を遊ばせながら走っていった。長編なのでこの後の続きを書く必要があるけど、今回書いたシーンは、ちょっと他のシーンとの接続を考える必要はあるけど、なかなかに気に入っていて活かしていきたいと考えている。

 

面白いと考えていることをひたすら書く

  島本和彦「吼えよペン 1巻」(2001年,小学館) P.189より。

f:id:TownBeginner:20180930204511j:image

   劇中、主人公の漫画家「炎尾燃」はキャバクラで軟禁され、キャバ嬢が考えた作品を書かされるのだけど、自分を取り戻し、書かされた原稿を破り自分の作品を作りキャバ嬢をねじ伏せた。このシーンにすごいカタルシスを感じたのだけど、(趣味とはいえ)モノを書くようになって、このシーンの凄さが改めて理解できた。

  自分が面白いと考えていることを徹底的に書かないと、どうしようもない。読者に受けるかどうかは様々な要素がある。絵柄・ストーリー・キャラクター・セリフやフレーズ・その時代の流行、などなど。しかし、それらを予測したところで、自分自身がそれを全て網羅して合わせることはほぼ不可能だ(そもそも予測できること自体が不可能に近い)。だとしたら自分自身のスイートスポットを見つけ、そこで勝負を仕掛ける方が精神的にも余程良い*5

  面白いと考えていることはきっとこれからも見つかるだろうし、そういうことをどんどん書きたいと感じている。

 

  ただ、帰宅した自分を待ち構えていたのは、宅配便の不在票と取り込まれていない洗濯物と仕事の準備だった。しばらくは日常に戻り諸々の片付けをしてから、童心に帰るための準備をする必要があるらしい。 

*1:ちなみに、この時のお題の絵として使われていたのは「Dixit」のカード。確かに奇妙な絵としてうってつけの題材だと思う。

*2:気付いた人もいるかもしれないけど、やっていることは「じゃれ本」と同じ。ただ、今回のワークの主眼は「他人の力を借りることに目を向けること」なので、じゃれ本の趣旨とは違うと青剣さんからのコメント。納得。

*3:昔、コボちゃんがアニメ化された時、せっかく夕飯がオムライスだったのに松茸が届いたから松茸ご飯に変更したお母さんに「やだーーーオムライスがいいーー!!」と駄々をこねるコボちゃんを見てから、オムライスは子供の象徴に近い。

*4:子供はお酒に憧れるけど、アルコールは禁止なので。

*5:件の島本和彦氏も、現在「アオイホノオ」が大ヒットしている。「時代が島本和彦に追いついた」と評されていたが、その通りだと思う。