2/12(土)、ProjectMeshの第2回ミーティングが開催されました。*1
お初の方も結構いらっしゃいましたが、みんなでテーブルを囲んでワイワイ楽しくやることができました。twitterとかで交流していると、実際にお会いするのは初めてでもフランクに話せるのはすごいですね。
そして午後の部では、SocialTranslationで英訳作業を行っているピクト図解の考案者、板橋悟さん(@ita3jp)による「ピクト図解」の超初級セミナーを受講しました。
ProjectMeshをピクト図解
ピクト図解を知らない方は、こちらのページを参照してください。
平たく言えば「図を使って統一的な表記を作り、ビジネスモデルなどの複雑な事象を読み解いて行く」という手法です。IT関係者なら、UMLのようなものと言えばイメージしやすいでしょうか。もっともUMLよりはずっとシンプルですが。
そんなピクト図解の超初級セミナー、講義の後にワークとして「ProjectMeshをピクト図解で書いてみよう!」というわけでみんなで模造紙の上に書き初めました。
しかし、書こうとしたものの難点が一つ。
「そもそもProjectMeshの役割ってなんだ?」
ProjectMeshは会社ではありません。参加メンバーはProjectMeshに対して給料などの金銭的なやりとりはゼロ。ProjectMeshはサイボウズ様から協賛を得ており会場を借りたりすることはありますが、金銭的なやり取りはやはりゼロ。ピクト図解はヒト・モノ・カネのやり取りを図にしますが、ProjectMeshについては、カネのやり取りがないのです。参加者とProjectMeshの関係、ProjectMeshと徳間書店や板橋さんがどんな関係にあるのか、もやもやした状態でした。
ふと板橋さんと僕ら参加者について、もしProjectMeshが無かったら?と思い図を書いて比較しました。
ProjectMeshが無かったら。
要するに、講師と受講者。受講者の立場としてお金を払ってセミナーを受講。
その一方で、著者と翻訳者。翻訳者の立場としてお金をもらってピクト図解を英訳。
一方、ProjectMeshがある場合。
メンバーは全員で翻訳をする代わりに、セミナーを受講します。一方板橋さんは、翻訳をお願いする代わりにセミナー講師を受け持ちます。
金銭的なやり取りは、発生していません。
The Meshの著書リサ・ガンスキーや徳間書店など他にもProjectMeshに関わっているヒト・会社はありましたが全て金銭的なやり取りはゼロでした。
交換経済の場
ProjectMeshは「交換経済の場」である。これが今回のグループワークで出た結論でした。
ProjectMeshとは何か?なんとなくわかっていた人や全然意識していなかった人もいましたが、このピクト図解により、ProjectMeshが交換経済の場を担っていると、皆がきちんと意識できたと思います。
The Meshでは「ピア・トゥ・ピア」の力が強調されていましたが、改めて書かれた図を見ると、このことがよくわかります。仲介業者が存在しません。
あと面白いと思ったのは「ピア・トゥ・ピア」と言っても、1対多が成立している点です。「翻訳」は、1人でやるには負担が重いけど、ソーシャルトランスレーションにより「みんながちょっとずつ」協力することで、一つの成果ができています。そしてその恩恵は、全員が受けています。株式会社への出資にも似た、少しの負担で相応の報酬が得られるという点は、うまく仕組みを作れば多対多になったり色々なことができる気がします。まだ具体案はありませんが……。
こういった交換経済の場では、金銭のやり取りは基本的にありません。そもそもお金というのは物々交換が成立しないケースに対応するために、共通の尺度として設けられたものなので、もし交換経済が成立するのであれば、必ずしも必要ではなくなります。*2
交換経済の普及に立ちはだかる壁?
では、この「ピア・トゥ・ピア」を基盤にした交換経済はこれから発展していくのか?課題はいくつかあると思いますが、個人的に気になることがあります。
それは税金。
上の図(ProjectMeshが無い状態)だと、講師の板橋さんはセミナー受講料を受け取りますが、この収入に対して(控除とかあるだろうけど)税金がかかります。一方、翻訳したことでメンバーはお金をもらいましたが、それに対しても税金がかかります。
一方の下の図では、お金のやり取りは一切ありません。したがって税金は0です。*3
僕は、税金は大きく二種類に分かれると考えています*4。固定資産税・車両税など「モノを所有することに対する税金」、所得税・法人税など「カネを得ることに対する税金」。「シェアビジネス」は前者に対して影響を与えるだろうと思っていましたが、場合によっては後者に対しても影響を与えるのかもしれません。取引をしてもお金を得ていない以上、税金はかかりません。
そうなると、このシェアビジネスや「ピア・トゥ・ピア」を基盤にした交換経済が発展していくことは政府側にとってはあまり望ましいことではないでしょう。単純に税収が減るのですから。こうなると政府が採りうる道は
- 交換経済やシェアビジネスを規制・禁止する(一定以上発展しないように)
- 交換経済やシェアビジネスによるヒト・モノの流れに対して税金をかけられるよう仕組みを作る
- 税金という概念をなくして政府もピア・トゥ・ピア化する
ぱっと思いつくのはこれぐらいです。下に行くほど実現度が低くなり、僕が見たいと思うものになります。*5
ProjectMesh、「なんか面白そう」とノリで参加したことがまさかこんなものだとは思いませんでした。ますます目が離せませんね。