今日も知らない街を歩く

雑記に近い形でちまちま書いていきます。

オープンソースカンファレンス・一日目感想

 早稲田大学で今日と明日開催されるオープンソースカンファレンスに行ってきました。

オープンソースって何?

 Wikipediaから引用すると、「ソフトウェアの著作者の権利を守りながらソースコードを公開することを可能にするライセンス(ソフトウェアの使用許諾条件)を指し示す概念である。」(普通だったら秘密にする)ソースコードを公開し、「著作権守ったら自由にいじって公開していいよ」とする内容です。代表的なものとしては、OSのLinux、webアプリケーションサーバーのTomcat、データベースのMySQLなどなど、とにかく沢山。あ、ブログとか書いている人ならWordPressがなじみ深いかもしれませんね。
 今回参加したオープンソースカンファレンスは、そんなソフトウェアを作ったり使ったりしている人たちが集まって導入事例や最新技術を紹介するという趣旨のもので、技術に興味のある人にとっては間違いなく楽しいであろうカンファレンスです(そこで紹介された内容は、すぐにソフトをダウンロードして楽しめるのだから)。

OSS技術の話と導入の話

技術の話と導入の話、どちらも面白そうな内容がたくさんあったのですが、時間帯がかぶってしまったため泣く泣く絞りながら参加しました。いずれの会も勉強になりました。「オープンソースライセンス初級講座」では、そもそもライセンスがオープンソースの中でも違っていることを初めて知ったし、「Tomcat7.0」ではServlet3.0の仕様にちょっと感動したり(Javaオープンソースって、全体的に設定ファイルからアノテーションという流れになっている気がするのは気のせい?Hibernateとか。)「ChromeChrome OS、Chrome Web Storeで拓くWebアプリケーションの世界」は、始めてみるChrome OSが新鮮だったし、「沖縄県OSSを活用したITビジネス強化の取り組み」は、「IT下請け構造からの脱却、提案型ビジネスを目指す」というのはみんな考えていることなんだなあとちょっとせつなくなりました。
 自分のこれまでのキャリアやこれからの業界の未来、社会の未来が垣間見えるようなカンファレンスでした*1

Ruby開発の成功事例

 しかし、僕が今日一番感銘を受けたのは、最後の「Rubyで地域振興シンポジウム」です。Rubyについては、そういうプログラミング言語があって、まつもとゆきひろという日本人が開発したもの、結構話題になっている、というぐらいの認識しかありませんでした。
 パネラーは、福岡のRubyの会メンバー・中島さん、実際に東京でRubyを用いた開発をしている佐藤さん、そして島根県庁の杉原さん*2(違っていたらすみません)のお三方によるディスカッション。
 まずは佐藤さんによるRuby開発事例として、佐藤さんが行った図書館情報システムの構築案件が紹介されました。開発をCentOs5とRuby on Railsで行った結果、エンジニアが生き生きしているのを見て間違っていなかったことを確信。結果、塩尻市が導入を決定し、その時もコストが低くカスタマイズしやすかったと高評価でした。コストも下げられたため、浮いた予算でICタグの図書管理も可能になりました。
 また、佐藤さんが事例紹介後に「小中学生にRubyを教えている」という話がありました。考えていることをJavaなどよりずっと早く具現化できるから*3、とっつきやすいということです。

わいわい楽しみながら開発することの意義

 一番興味深かったのは、「エンジニアが生き生きしているのを見て間違っていなかったことを確信」というくだりです。「楽しみながらやる」ということが、時として「仕事をまじめにやっていない」という評価を受けることがあります。技術においても、これ面白いんじゃないのと作っても「それは遊びレベルで、業務には使えない」などという評価が下されることもあれます。
 しかし、オープンソースの発展の仕方を見ると、技術においては違うんじゃないかと思います。HTMLなどのweb技術が出た時も、googleMapで地図がゴリゴリできるAjax出たときも当初は「あれは遊び、業務じゃ使えない」という感想を聞きました。リリースされた当初は本当だったかもしれませんが、オープンソースは好きな人がどんどん進化させていくので、気が付いたら業務で使えるレベルに達する、というのは全然ある話です。

やっぱり楽しんだ方がいいに決まってる

 「仕事は真面目にやること」と「わいわい楽しんでやる」というのは、両立しないって誰が決めたんだろうなあ、とふと思いました。図書館の事例でいえば、わいわいやった結果、エンジニアから多様な意見が出て、開発はうまく行ったと語られていました。大体、これまで仕事をわいわい楽しくやることを否定して、「プロジェクトの成功率は3割*4」という成果しか出ないのであれば、楽しくやることを一度は考えてみてもいいんじゃないかと思います。*5


 明日3月5日も出席予定です。今度はどんな未来が見られるのか楽しみです。


 あと、勢いに負けて買っちゃいました。

メタプログラミングRuby

メタプログラミングRuby

 だってすごく楽しそうだったから。時間を作っていじりたいなあ。
 

 本文執筆時間:55分

*1:昔はIT業界には未来がないと沈んでばかりでしたが、今はそうでもないです。構造は大幅に変わると思いますが。というかそうなって欲しい。

*2:Rubyの開発者・まつもとゆきひろ市が島根県在住ということもあり、島根県ではRubyの活動が盛んなようです。

*3:これは、講演終了後に僕が訪ねたことですが。

*4:こちらをご参照。

*5:もちろん「わいわい楽しくやったらプロジェクトは成功する」なんて保証はありませんが。要は考え方を少し変えてみてもいいじゃん、という話です。