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今日も知らない街を歩く

雑記に近い形でちまちま書いていきます。

ことわざで読み解くグランズウェル

以前の読書会で取り上げられた本ですが、改めて感想を書きます。

悪事千里を走る

 「悪い行ないや悪い評判、悪い噂がたちまち世間に知れ渡る」。インターネットとグランズウェルは、この中国の故事成語「悪事千里を走る」をさらに強化しています。本書ではダンキンドーナツの不衛生な環境の告発、さらには悪評や不都合なコンテンツを消そうとした結果、逆に広まってしまう「ストライサンド効果」について述べていますが、企業にしてみればたまったものじゃないでしょう。
 しかし、企業にとってはデメリットだけではありません。何も「悪事・不祥事を一切するな」ということではないからです*1。悪事・不祥事が発生した場合、即座に正しい対応を行えば、顧客からの信頼を失わずに済むし、場合によっては新たな顧客の獲得にも繋がる可能性があります。

 参考:UCC bot事件でお詫び
 この件でUCC珈琲が素早い対応を行った結果、炎上はせずに顧客からは一定の評価を得られました。

今後、企業が不祥事に対してどう対応するかは、より一層重要になっていくでしょう。

柔よく剛を制す

 相手の力を利用して相手を制する。そうすれば小さい者でも大きな者を倒すことができる。「柔よく剛を制す」という柔道に由来することわざですが、グランズウェルに対してもこれが当てはまります。相手の力、すなわちグランズウェルを利用するという発想です。
 本書の第二章でも「柔術とグランズウェルのテクノロジー」とタイトルがつけられています。述べらけているのは、グランズウェルは既存の基盤を破壊することさえあるが、逆らうのではなく、グランズウェルの仕組みをきちんと理解し連携することで、自社に有利な形に展開できるし、大きな利益を得られる、ということ。
 これは全くその通りで、どのみちこちらの力はグランズウェルより小さく、動きを制することなどできません。それだったら巨大なグランズウェルという力を利用することに焦点をあてて、どうやったら連携できるかということを考えたほうが、より大きな成果を得られます。
 その柔術的発想を身に着けるためのグランズウェルの解説が、第二部で語られています。基本的には企業がどうグランズウェルに対して付き合っていくか、という論調で筆が進んでいきます。しかし、グランズウェルの対話やブランディング戦略などは、一個人という観点から読んでも有意義な内容です。特に現在、twitterFacebookを初めとして、個人が個人として活動するためのプラットフォームが整ってきています。活動するにあたって個人のブランディング戦略を打ち出す必要が出てくる場合、グランズウェルをどのように読み解いてどのように付き合うかは必須です。顧客の規模が増えていくにしたがって、必然的にグランズウェルになっていくのですから。

青は藍より出でて、藍より青し

 このグランズウェルは2008年に出版されましたが、企業が(場合によっては個人が)とるべき姿勢を詳細にわかりやすく解説した良書です。その二年後、以下の二つの本が著されました。

シェア <共有>からビジネスを生みだす新戦略

シェア <共有>からビジネスを生みだす新戦略

メッシュ すべてのビジネスは〈シェア〉になる

メッシュ すべてのビジネスは〈シェア〉になる

 特に「シェア」は、第二部のタイトルが「グランズウェル」と名付けられており、グランズウェルの存在をはっきりと認識しています。企業が何かを売って、何かを買うのは変わらないけど、「どう消費するか」「何を消費するか」は変わっていくと述べています。「グランズウェル」によって、それらが変わり、決定されていくのでしょう。  「シェア」「メッシュ」は、「グランズウェル」を源流としており、グランズウェルの存在を前提として、これからのビジネス・企業・そして社会がどうなるのかを考察した良書です*2
 どちらも現在注目を集めていますが、もしこの本をより深く理解したいのであれば、本書は必読です。個人的には「グランズウェル」「シェア」「メッシュ」は、シェアビジネス・シェアマインド三部作と名付けたいです。


執筆時間:55分

*1:念のために言っておきますが、「悪事・不祥事をし続けてもいいよ」という意味でもないです。

*2:近いうちに、この二冊についても書評を書きたいです。