今日も知らない街を歩く

雑記に近い形でちまちま書いていきます。

空気を読まないで本を読むという話

@show_mottoさんより貸本御礼。


空気を読むな、本を読め。 小飼弾の頭が強くなる読書法 (East Press Business)

空気を読むな、本を読め。 小飼弾の頭が強くなる読書法 (East Press Business)





小飼弾式の読書術入門とでもいうべき内容でした。本をどうやって「使うか」に焦点を当てた本です。

夢中で読んだ本は意識できない

 中学の頃は、特に星新一筒井康隆をむさぼるように読んでました。図書館で借りたり、学校の近くの古本屋で4冊100円で売っているのを読んだり。しかし、それにも関わらず、星新一について、あるいは筒井康隆についてちゃんと説明できません。話せることはといえば、星新一は文庫本で3ページから4ページぐらいのストーリーがたくさん。筒井康隆は「農協月へ行く」の内容があまりにバカバカしくて、教室内で読んでで馬鹿笑いして白い目で見られた思い出と、七瀬シリーズで人間は怖いと思ったこと。それ以上の事はあまり書けません。これらの本を読んでのアウトプットをする機会が全くなかったことが、とても悔しく悲しいです。
 とはいえ少し救いなのは、説明できないからと言って何も得ていないとは限らないことです。

私が彼らにどう影響されたかというと、あまりに血肉化されていて、かえって意識しづらいところがあります。この3人がいない宇宙は考えられない。もう少し彼らとの付き合いが浅ければ、そういうことも考えられたかもしれないですけどね。(P.47)

 さすがに読書量が違いすぎるので、同じように血肉化されてて説明できないとは言えませんが、
 個人的には、「平和だったのは図書館の中ぐらい」に共感しました。校内暴力とはありませんでしたが、中学・高校の僕にとっての逃げ場といえば、図書館・古本街・秋葉原でした。

古典に向き合う

 若いうちにもっとやっておけば良かったと思うことがあります。それは、「古典」を読むということ。それも、入門書や解説書を読むのではなく、直接読むことに意義があると特に思います。とにかく意味が分からなくても、一度だけでも読んでおけばそれが何らかのフックになるからです。意味が分からなければ先には進んではいけない(どうせ理解できないから)という変な思い込みがあって、それが読書の邪魔になってました。「読書百遍意自ずから通ず」という言葉がありますが、わかんなくてもとにかく読む事それ自体が重要です。

マキャベリが活躍した以前にも韓非という人がいて、同様の事を『韓非子』に書いています。二人に共闘しているのは、マキャベリはちっともマキャベリストではないし、韓非もちっとも性悪的な人ではなかったところです。
どこまで本当なのか真偽は定かではないですが、韓非はすごく人を信じやすい人で、同じ思想家の李斯の陰謀で忙殺されたと伝えられてもいます。(P.63)

 原典に当たらないとわからないこともあるから、原典をあたるのは重要です。しかし、それがわかるのは殆どの場合、大人になってから。だからこそ、若いうちに読んでおいてフックを作っておき、「時間の無い」大人になった時の助けにする必要があるのでしょう。

一番の速読法は「とにかく手を動かす」

 読書は肉体的な行為と、小飼弾氏は述べています。では、電子書籍ではどうなるのか。僕は、おそらく身体のメッセ―ジが違ってくるものである以上違う行為になると思います。しかし、本質的にはページをめくる興奮は失われないとも思います。少なくとも、Kindleで小説を読んだときはそうでした。

でも、今のところは、とにかく手を動かしてページをめくることを繰り返す方が読書マスターへの早道でしょう。習慣として体に覚え込ませる方が、読書の上級者に早く近づける。
 理解できなくてもいいからに、とにかくページをめくってみるのもいい。読書の素晴らしいところは手を動かさなければならないこと。神を一枚一枚さわって、肌で感じてページをめくるというのは、実はとても器用な行為で、これができるロボットはまだ開発されていないはずです。(P.81)

 だからなのか、紙をめくるという行為の邪魔になる「本に付箋を貼る」などの行為を支持しないというのは理解できます。もっとも、僕は付箋を使っていますが、その理由は「この後ブログでまとめたり話をするとしたら、どの部分を引用したいか」という視点が必要だからです。今のところ、ちょっとでも気になったらひたすら貼るので数が膨大になってしまっていますが……。一回目は素読、二回目は付箋を貼って読書というのが、今のところ僕にとってスムーズな読書法になっています。

まとめ

 本を普段読んでいる人は、この本を読んで自分のスタイルと照らし合わせてみると良いと思います。普段本を読まない人は、とにかくページをめくってください。若い人は、早めに古典に触れましょう。

最後になりましたが、貸本していただいた@show_mottoさん、ありがとうございました。