Google Chrome OSを搭載したネットブックがいよいよ発売されることになりました。
"グーグル、Chrome OS搭載のノートPCを発表 - 月額料金制での提供も"
アメリカなどの欧米圏でのみの発売で、日本での発売は未定です。とはいえ、Chrome OSをプリインストールしたマシンが発売、ローカルにデータを置かないシンクライアントだからこそ可能と思われる「ハードウェア込みでの」月額料金制と、既存のPC市場に無かった新しい流れが生まれようとしています。
そんなChrome OSですが、大きな特徴として「オープンソースであること」が挙げられます。(多少制約はありますが)開発にはGoogle社員以外も参加可能ですし、Chrome OSは誰でも無料で入手できます。
というわけで、どんな感じなのか試しにインストールしていじってみました。
Chrome OSインストール
ざっくりとインストールについて書きます。IT関係者以外は読み飛ばしていいです。
インストールに当たっては、この本を参考にしました。
Google Chrome OS ~最新技術と戦略を完全ガイド~
- 作者: 小池良次,中島聡,伊藤千光,太田昌吾,まえだひさこ,向井領治
- 出版社/メーカー: インプレスジャパン
- 発売日: 2010/03/24
- メディア: 単行本
- 購入: 2人 クリック: 293回
- この商品を含むブログ (20件) を見る
当初はVMwareで動かしていたUbuntu内でソースコードを入手しビルドしようと思っていたのですが、作業の途中でUbuntuが32bit版であることが判明。どうやら32bitだとうまくビルドできないため、ソースからビルドはいったん断念し、ネットから直接Chrome OSのVMwareイメージを取得することにしました。
ダウンロードはここから。
解凍し、VMware Playerで立ち上げました。
Chrome OSは立ち上がりが早いと聞いていましたが、確かに早いです。VMwareが認識してから、たったの3秒でこの画面が立ち上がりました。ここでGmailのユーザーとパスワードを入力するとログインできます。
Welcome to Flowというメッセージと共にChromeブラウザが立ち上がりました。VMwareなのでちょっとカクカクしていましたが、操作感はGoogle Chromeと全く同じでした。
タブを新しく作れば、よくアクセスするページが候補として表示されるし、アドレスに検索したい単語を入れれば検索できます。
ちょっとわかりずらいですが、右上にあるつまみをクリックしたところです。ここでキーボードやネットワークなど、いわゆるOSの領分の設定を行います。
こちらは左側のChromeのマークをクリックしたところ。webで利用できるサービスがこうやって表示されます。カテゴリごとにタブが分かれており、evernoteやyoutube,facebookにtwitter,flickerと有名どころは一通り揃っていました。
Chrome OSの使用感
VMwareが悪いのかダウンロードしたイメージファイルが悪いのかわかりませんが、よくフリーズしました。また、キーボードが日本語対応していないため文字が打ちにくく*1難儀しました。しかし、それ以外は何も問題はありません。そもそも全てをGoogle Chromeの上で行っているのだから普通にインターネットできる人は何も問題ないと思います。パソコンなんか触ったことが無いという人の方が、先入観がない分多少知っているという人よりも馴染みやすいかもしれません。
いろんな企業と対立しているGoogle
では、Chrome OSは普及していくのでしょうか。現在最もOSでシェアのあるWindowsとわかる範囲で比較すると、
要素 | Windows | Chrome OS |
---|---|---|
シェア | 圧倒 | ほぼゼロ? |
値段 | 2万円程度(Home) | 0円 |
速度 | 普通 | 早い |
クライアントソフト | 利用可能 | 利用不能 |
オフライン作業 | 利用可能 | 限定的に利用可能*2 |
というわけで、基本的なスペックは勝っているもの、普及率そして既存のPC利用スタイルが壁になりようです。特にネックなのがクライアントソフト。代表的なソフトである「Skype」「iTunes」が利用できないのは、個人への普及に際して大きなネックになるでしょう。また、facebook,twitterを初めとするwebサービスも、例えば「写真をアップロードする」という機能のようにシンクライアントを想定していない機能があるため、そこも普及に際しての障壁になるかもしれません。*3
そういう意味では、Chrome OSのネットブックをまず教育機関・法人向けに提供をはじめるという戦略は正しいです。「セキュリティ対策がしやすい」「業務に関係ないことをやらせない」という視点で見れば、上述の点はいずれも強みとして生きるからです。
しかし改めて整理すると、Googleはすごいことをやっています。
- OSでWindowsに殴り込み
- 検索でfacebookと覇権争い
- クラウド VS peer-to-peerというネットワーク方式でSkypeと袂を分かつ
- 音楽サービスとアプリの提供でAppleに対抗*4
- PaaS、IaaSでAmazonと競ってる
各分野でトップを取っているIT企業と、たった一社だけでこれだけ対抗しようとしている企業はないんじゃないでしょうか。このケンカの売りっぷりは、IT企業の織田信長、もしくは狂犬と呼ぶにふさわしいです。
はたしてChrome OSはこれからどんな展開をしていくのか、そしてGoogleは他の企業とどう渡り合っていくのか*5、目が離せません。
それでは、また。