今日も知らない街を歩く

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課題解決の一手法としてのデータ分析 -日産で学んだ世界で活躍するためのデータ分析の教科書-

 上司から借りた、柏木吉基「日産で学んだ世界で活躍するためのデータ分析の教科書」ひとまず読了。

日産で学んだ 世界で活躍するためのデータ分析の教科書

日産で学んだ 世界で活躍するためのデータ分析の教科書

 

  「ひとまず」というのは、1回読んでなんとなく理解した気になってはいけない類の本のため、繰り返し読む必要がある本と判断したため。というわけで上司に返した後、自分用として購入。

 

目次は以下のとおり。1章から4章が各論、5章でまとめという構成。

【序章】 日産時代の経験から言えること

 

【第1章】 課題解決の「プロセス」を知ろう!

 [課題解決ストーリー1]── 新車販売が悪化、さあどうする? まずは計画と現実の差を明確に

 

【第2章】 分解して「課題ポイント」を探ろう!

 [課題解決ストーリー2]── データを“分解”して 課題ポイントを特定

 

【第3章】 2軸の視点で「要因」を探ろう!

[課題解決ストーリー3]── WHY型の仮説を立てる ロイヤルティー率との関連要因に注目

 

【第4章】 2軸の関係を「数式化」しよう!

[課題解決ストーリー4]── 単回帰分析を実行してみる 車種Bと車種Cに個別の課題発見

 

【第5章】 「課題解決ストーリー」の振り返り 

 

 「データ分析」としての内容は、3章と4章がメインだが、データ分析で最も重要になるのは、最初の2章で書かれる「目的・課題の明確化」「現状把握と課題ポイントの特定」。特に目的・課題の明確化については、仮説を立てて絞込を行わないと回り道ばかりしてしまうという点は、筆者が実務で苦労した点が伺えるように思える。

 「ビールとおむつを一緒に買う顧客が多いから、試しに並べてみたら売上が上がった」というエピソードが、データマイニングの事例としてよく取り上げられる。そのため、「とりあえずデータを集めて分析してみればなにか分かるかもしれない」と、データ分析に関する考え方が出てくるが、著者はこれにはっきりと異を唱える。これは、著者が日産時代に「3〜4ヶ月単位で1つの課題に対する「答え」を呈示する」という経験をベースにしたものだろう。「とりあえずデータを」というアプローチでは効率が悪すぎて課題が解決できない。

 その意味で、本書は実務でデータ分析が必要なユーザーにとって非常に示唆に富むと言える。

 

 不満があるとすれば、データ分析における最初のプロセスである「目的・課題の明確化」である仮説アプローチに関する記述。結果を左右する大事な箇所であるにしては、ページ数は他の章より少なく、仮説アプローチをどのように行い検証していくのかの手がかりが乏しいと感じた。せめて参考文献などがあれば、と思う。

 

仮説思考 BCG流 問題発見・解決の発想法

仮説思考 BCG流 問題発見・解決の発想法

 

 

正解が見えない課題を圧倒的に解決する 超仮説思考

正解が見えない課題を圧倒的に解決する 超仮説思考

 

  「仮説思考」でググッて出てきた本。読んでみる。

 いずれにしても、データ分析の目的が課題解決にある以上、コンサルタント的な思考は求められるのだなと思う。