今日も知らない街を歩く

雑記に近い形でちまちま書いていきます。

「仕事をやる上で欠かせない本」って何ですか?

 会社の新人さんからタイトルの通りのことを聞かれました。
   以前におすすめ書籍として推薦した「ソフトウェア・ファースト」が、とても勉強になったらしく、もっといろいろ知りたい、との事でした。

 

ソフトウェア・ファースト あらゆるビジネスを一変させる最強戦略

ソフトウェア・ファースト あらゆるビジネスを一変させる最強戦略

  • 作者:及川 卓也
  • 出版社/メーカー: 日経BP
  • 発売日: 2019/10/10
  • メディア: 単行本
 

 

   他にも色々知りたいことがあるらしく、「データベースを学びたいけど、良い本はないか」など、いくつかかトピックを書いて尋ねてきました。トピック別に聞いてくれたことで、こちらとしても本を薦め易かったです。
 
 ただ、ひとつだけ「どうしようかな」と考えてしまうものがありました。
 
仕事をやる上で欠かせない能力を身に付けるための本があったら、教えてください。
 
 
「そんなの幅が広過ぎる。無理」
と返そうかと思いましたが、「自分が仕事をするにあたって大事だと思っている事」を振り返るためのきっかけにもなるかもな、と思い直し、何を伝えるべきか考えてみました。
 
  新人さんは、仕事をするうえで欠かせない能力の具体例として、こんなことを挙げていました。
  • エクセルをうまく使えるようになりたい
  • 議事録をだれが読んでもわかるようなものにしたい 
 
  多分いま振られている仕事が、会議の議事録を取る係だったり、Excel関数・マクロを使ってのドキュメント作成なんじゃないかなというのが想像できます。議事録を取るコツを書いたウェブ記事や、VBAや関数の逆引き辞典など、利用用途をコンパクトにまとめた実践的な本にはいくつか心当たりがありました。
 
 これらの能力は確かに汎用性があり、身につけて置くと色々捗ります。
 ですが、それを「仕事をやる上で欠かせない能力」として紹介するのは違和感がありました。これらは仕事をスムーズに進めるための手法には違いありませんが、その能力は、本当に「無いと全く仕事にならない」のでしょうか?
 
  ここまで考えて、そもそも「仕事とはなにか」を考えてもらう必要があることに気付きました。新人という立場上、仕事とは「上からなにか降ってきたものをこなす」ことになります。ただ、それに慣れ過ぎてしまうと、「来たものを返せばOK」という発想が身についてしまいます。そうなると「先手を打って何かをする」「新しい何かを始める・生み出す」ということがしにくくなることは想像に難くありません。この新人さん、以前に「最終的には浮かんだアイデアを実現できるようになりたい」という話を聞いていたので、なおさら「来たものを返せばOK」という発想に染まってしまうのはよろしいことではないと思いました。
 
   「仕事とはなにか」を考えるためのヒントになる本。というわけで、これを薦めることにしました。 
イシューからはじめよ――知的生産の「シンプルな本質」

イシューからはじめよ――知的生産の「シンプルな本質」

  • 作者:安宅和人
  • 出版社/メーカー: 英治出版
  • 発売日: 2010/11/24
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 
  ある問題が与えられた時、確認しなければならないことがあります。それは「その問題がそもそも本当に適切なのか」「本当に答えを出すべき真の問題はなにか」ということです。
  例えばシステム構築だったら、ある機能の改修依頼を受けることは少なくないでしょう。その時に、その改修依頼の経緯・背景や目的は必ず確認する必要があります。それを押さえておくことで、実装が不可能だった場合の代替案を提示しやすくなったり(目的がわからないと、その実装が不可能だった場合に行き詰まります)、あるいはもっと良い提案が(場合によっては追加の実装作業などが無しで!)できるようにかもしれません。
 
  普段やっている仕事・将来的にやりたい仕事は何でしょうか?
  その仕事をするためには、上記の能力は本当に最優先で身に着けないといけないのでしょうか?
  議事録を書く仕事は、何のために行うのでしょうか?
  いま何の仕事をしているか、何の仕事をしたいか、試しに一度考えてみてください。
 
 僕はこんな感じで本を薦めたんですが、もし、こんなことを聞かれたら、皆さんはどう回答しますか?これ、回答に色々特徴が出るんじゃないかなぁと思っています。
  新人がいない職場だとしても、試しに考えてみると、自分の仕事観を改めて整理できるし、自分自身にとっても有意義だなあと思いました。
 
  今日書きたいのはそんなところです。