特に意識したわけでは無いのだけれど、年末年始は動画コンテンツばかり見ていた。
年末年始の一挙放送につられて、「アンナチュラル」「逃げるは恥だが役に立つ」を視聴。
脚本力の高さに唸る。アンナチュラルは死因の謎を追う法医学のミステリードラマなのに対し、逃げ恥は恋愛しにくい社会情勢の中で昔の番組のパロディも交えつつストーリーが進むラブコメディドラマ。毛色は全く違うが、どちらも1話ごとに1つのイシュー(テーマ)が示され、それに向き合い解決する1話完結ドラマとしても視聴できるドラマ、かつストーリーの中にもシリーズ全体を通したメインストーリーの話が進展したり伏線が貼られることで、一つのドラマとしてもまとまっており、視聴していて続きを見たくなる面白いドラマだった。実際、TBSの一挙放送がきっかけだったけど、待ちきれずにParaviに入会して一気に視聴してしまった。
ドラマの脚本は野木亜紀子さん。聞き覚えが有ると思っていたら、以前にハマってDVDまで買った「空飛ぶ広報室」の脚本の方だった。
この時も、主人公を原作の空井ではなく稲葉を主人公にして稲葉サイド(テレビ局)の物語を膨らませることで、ドラマとして厚みが出て見ごたえがあったという感想を抱いた。今のところ、野木亜紀子脚本に外れ無しである。
もう一つ、年末年始に視聴した面白いドラマ。www.nhk.jp
「ジョジョの奇妙な冒険」のスピンオフ作品である「岸辺露伴は動かない」の(まさかの)ドラマ化。ジョジョ本編は単行本で読んでいるけど、このスピンオフは読んでおらずストーリーを知らないため、ほぼ初見のような状態で視聴した。
「高橋一生がまんま岸辺露伴」というTwitterの感想をなぞるしか無いくらい、高橋一生が岸辺露伴だった。ヴィジュアルもそうだが、苛ついた口調、子供にも容赦ない嘲り、非常に説得力の有る演技だった。
また、スタンド(ヘヴンズ・ドアー)を使う場面は要所要所で出てくるが、スタンド自体は出てこず、人が本のようになる描写だけだった。スタンドは一切画面に映像として出てこない。
大正解だと思う。
「岸辺露伴は動かない」の3つのストーリーは、ジョジョ本編と違い、スタンドはあくまで1つのギミックという位置づけになっている。そのため、スタンドの説明を必要最小限に抑え、岸辺露伴やその周囲の人々のキャラクターおよびストーリーに注視できるようになっている。良い演出である。
脚本は小林靖子さん。テレビアニメ版「ジョジョの奇妙な冒険」のシリーズ構成の担当されており、この時点ですでに面白さは保証されていると思える方である。また劇中では刑務官の声など音声だけの出演としてカメオ的に櫻井孝宏さん(テレビアニメ版で岸辺露伴の声を演じた声優)が出演されており、アニメ版に対するリスペクトも感じられ、見ていて気持ちの良いドラマだった。
全3話だが、一部時間の都合で視聴できなかったため、(元々入会していた)NHKオンデマンドで視聴。
そういえば、ドラマを視聴するために月額動画配信サービスを利用するのは初めてかもしれない。
食わず嫌いだと思うのだけれど、10代の頃は、いわゆる「トレンディードラマ」と呼ばれるドラマの全盛期で、恋愛ドラマしか目につかなかった。当時はゲームしか目に入っておらず、恋愛ドラマには全く食指が動かず、かといって大河ドラマなどの時代劇は古臭いということで、ドラマを観るという選択肢は当時の僕の中には無かった*1。
しかし今になって改めてドラマを観ると、脚本のシリーズ構成、テーマの定め方、定めたテーマへのアプローチ&ギミックのし掛け方というのは、例えばエッセイや小説を書く場合でも大いに参考になるし、何だったら仕事の説明を行う上でも十分に有用だ。何より、はっきりしたテーマに向かって筋の通ったストーリーを上手い役者陣が演じている作品を観るのは、単純に面白い。時間との戦いになることを覚悟して、今年はドラマもチェックをすることに決めた。
しかし、想像以上に数が多くびっくりしている。今のところ観ているのは連続テレビ小説「おちょやん」だけ。テーマや時間帯を分けたり、自分が興味を持てそうな作品ををいくつかピックアップして視聴する予定である。これまでドラマを全く観ていないので選球眼は養えておらず、つまらないドラマを見る可能性も少なくない(むしろ高そう)が、それはそれとして一旦視聴し、何が面白いと思うのか、何がつまらないと思うのか、自分の嗜好を知る上でも分析してみる
以前に読んで面白かった脚本の話。 ドラマを見る前に、もう一度読み直す予定。つまらない脚本の何がつまらないのか、どうやって書き直すのかを書いていることがとても信頼できると思う。
*1:もっとも、当時のドラマを今観て面白いのかどうかはわからない。少なくとも脚本や時代的なズレの少なさから、今のドラマの方が昔のドラマより楽しめると思っている。