今日も知らない街を歩く

雑記に近い形でちまちま書いていきます。

図書館で一日中本を読む習慣を作る試み

長期連休でどこにも行けない時の3大娯楽は
  • 本を読む
  • ゲームをする
  • 映画やDVDを見る
  だと思っている。積読してある本もかなり多くなっているので、今日は一日中本を読もうと決めた。しかし自宅だと、どうしても集中が削がれてしまう。そこで、(読む本がビジネス書などの堅い本であることもあり)図書館で本を読むことにした。
 
読んだのは以下の本。
 
ビクター・マイヤー=ションベルガー「データ資本主義」。 

 「市場」というコンセプトと「データ」が結びつくことでどうなるのかを考察した本。「人間の真の能力は『調整をする力』」「状況が揃えば企業ではなく市場でバイクを作れる」など、同意する・しないは別にしてテーマとして取り上げられている内容は大変面白く、いわゆる「ビックデータ」「データ分析・活用」といった、データに関する領域の仕事に関わる人は一読したほうが良い内容だった。

 ただ、データが貨幣を凌駕していくという内容は懐疑的である。仮想通貨や信用スコアなど既存貨幣の代替とでもいうべき概念は生まれているが、いずれも「貨幣的に」使用されている。その事を考えると、結局「データ」も「貨幣」という概念に収斂されていくのではないかと考えている(もっとも、そういった状況は「データ抜きでは貨幣が成り立たない」ということで、データが貨幣を凌駕していると言えなくもないのだけど)。

 

 ティエン・ツォ「サブスクリプション」。

 元セールスフォースでZuoraの創業者兼CEOのティエン・ツォによる著作。本書は2年前に刊行された本だが、BtoBも含め、「サブスクリプション」という概念自体は今やすっかり浸透している。むしろ最近のBtoCコンテンツサービスはサブスクリプションが主流とすら思う。NETFLIXなどの動画配信サービスはもちろん、スマートフォンアプリのプレミアムサービスも月額制が増えている。そのインフラとなっているクラウドサービス(Amazon Web Service)は、サブスクリプションではないが従量制課金であり、買い切りモデルではない。

  本書ではサブスクリプションが誕生したのを「顧客の力が強くなったから」と説明している。理解はできるが、個人的にはそれ以外の要因の方が強いと感じた。平たく言えば「企業側の都合」である。Salesforceの躍進は競合他社がERPにこだわり続けるのを尻目に*1、クラウド月額モデルを構築したことにあるのは間違いない。しかしSalesforce側も「データ」を取れることを考えれば、決して損ばかりではない。

  BtoBやBtoCに限らず、月額モデルに共通しているのは「クラウド型のサービス、または一定期間でサーバー側にデータを送信することで利用者の利用データを取得している」ことである。では、その取得したデータはどのように用いられるのか。

 

  顧客が支払っているのは、お金とデータである。

  たまたま直前に「データ資本主義」を読んでいたので、変なリンクを起こしてしまった。顧客の力が強くなったのは間違いないと思うが、このサブスクリプションモデルはあくまで「企業側にとって、そちらのほうが都合がいいから」成立している話だと言う印象が拭えない。

  余談だが、会計システムについて言及していることも興味深かった。最初に大きな投資を行い段階的に回収していくビジネスモデルなので、確かに既存の会計システムとは相性が良くない。そこから別の会計制度が生まれるのかどうか。

  しばらく会計制度については、注目しておいたほうが良いのかもしれない。

 

   なお、上記二冊は通読ではなく掬読や指読などの技法を使って読んだ。この技法は、
「読書大全」で紹介されていた技法で、試しに実践してみた。

   拾い読みしながら「なんとなく重要そう」「コメントなど思うところがある」「よくわからないから要精査」という内容を、それぞれ付箋で書いて貼っていった。これで本当に全部芯から理解できたかと言われると大変に疑わしい。しかしよく考えてみたら、これまでも一冊の本を読み終えるまでに時間を要してしまい、読み終わった時点で最初の内容はすっかり忘れてしまっていることも少なくなかった。それであれば、拾い読みでも一旦全部伏線を貼りながら読んで、その後通読などでもう一度読む方が最終的には得るものも多いかもしれない。

  そう考えると、Kindleでは掬読や指読が難しいことに気付いた。Kindleにはハイライト等をする機能はあるが、こういった読書の技法が使えるのは紙媒体だけである。Kindle自体は結構好きで漫画や小説を読む時は持ち運びも便利で大変助かっているが、今後ビジネス書や哲学書など、通読以外の読書技法が必要になるものは、あまりKindleで買う事は無いだろう。

 

  本を読み終え、図書館を後にした。本を通読せず付箋やノートなどを活用しながら読む時は、図書館というスペースは大変有用であることがよくわかった。惜しむらくは、通読以外の読書技法をもっと早く知りたかったことである。さすがに20年遅すぎた。

  また、本の感想をこうやって書いたが、本当はもっと深く理解して思考を深めたい。どちらの本も掬読などのため、まだ核を完全に捉えきれていないと感じる。時間をとって図書館に行き、ノートなどを活用しながら思考を書いていきたい。

  やっと図書館の使い方がわかってきたので、今年は図書館を活用する年にしたい。それだけに、緊急事態宣言の行方が本当に心配である。f:id:TownBeginner:20210105230842j:image  新橋豚大学の豚丼。

  時たま、こういった丼ものを食べたくなる。栄養のバランスはあまりよろしくないが、別の食事を調整しても食べたくなるご飯が、世の中にはある。

*1:余談だが、このあたりの話はイノベーションのジレンマそのまんまだと思う。