今日も知らない街を歩く

雑記に近い形でちまちま書いていきます。

猫町倶楽部シネマテーブル ベスト&ワースト

  猫町倶楽部のシネマテーブルに参加。テーマは「ベスト&ワースト」。2020年に公開された映画からベスト3&ワーストを決めて発表するというもの。カウントしたところ、10本観ていた。2020年公開の映画だけでこれなので、実際にはもっと観ているわけで、随分映画を見たなあ、と驚いたのだけど、参加者の方々は20本・30本は当たり前、中には50本以上観たという方も。そもそもそれだけの数、映画が公開されているという事実に驚く。自分が知っている映画はごく一部なのだろうな。

 

  以下、2020年の映画のベスト3&ワーストを書く。 

第3位:ソニック・ザ・ムービー

  4月に発令された緊急事態宣言が明け、映画館の営業が再開されてから初めて観た映画。だから思い入れもあるのは確かだけど、少なくとも、もっと評価されていい映画であると僕は思う。 

paramount.jp 

  • ソニックが可愛くない
  • ソニックの声優が今まで担当してた金丸淳一さんじゃない

  などの理由から前評判は芳しくなかった。しかし実際に観てみると、ソニックの造形はきちんと直っているし、ソニックらしい疾走感のある映画に仕上がっていた。ハリネズミのソニックが保安官のトムとコンビを組んでロボトニックに立ち向かうというのは、ベタベタな王道ストーリーではある。原作と違い舞台はアメリカだけど、それが「自動車が走り回る大都市を走り回りながら戦うソニック」という、疾走感を味わえる舞台設定にもなっているし、高度に機械化された都市を舞台にすることで「動物のソニック VS 機械を操るロボトニック」という対立構造、かつアウェイのソニックを助ける保安官トムというキャラクターのつながりが生み出されて、観てて気持ちが良い。

  日本語吹き替え版で鑑賞したが、ソニック役の中川大志はよかった。この映画のソニックとしては、しっかりとソニックだったと思う。ロボトニックの山寺宏一は、山寺宏一だった。悪い意味ではなく、悪役の博士として本当に安定しているなと感じた。

 

第2位:イップ・マン 完結

「ジャッキー・チェンやブルース・リーのカンフー映画を見た後は、強くなった気分になって帰る」ということはよく言われているけど、その例えに習えば、僕にとってイップ・マンシリーズは「背筋を正して生きていけと言われた気分になって帰る」映画である。

gaga.ne.jp

  別にそういう説教をするような映画ではない。しかし、イップ・マンの生き方を観ていると、自然とそう感じてしまう。イップ・マンは「ブルース・リーの師匠」という偉大な存在にも関わらず、映画で描かれているのは「等身大」の人物だからである。

  イップ・マンは、日本軍や武術のライバル、果てはフランク(マイク・タイソン!)に勝ったにも関わらず、イップ・マンの家族の生活は楽にならない。本作の「完結」では、妻を亡くしたイップ・マンが息子とすれ違う様が描かれている。イップ・マンは「問題を武術で解決する」というよりは、「武術のおかげで問題をなんとか凌いでいる」ようにも見える。

  イップ・マンほどの人物が「ありふれたこと・我々にも起こりうること」で悩んでいるのだから、僕も「ありふれたこと・我々にも起こりうること」で悩むのは当たり前だし、同じように立ち向かおう。

  変な話だが、イップ・マンが偉大であると言われれば言われるほど、「しっかりしていれば、僕もなんとかなるのでは」という謎の自信が湧いてくる。確かにイップ・マンはクライマックスでは自分の拳法で決着をつけるが、そこまでのプロセスは決して平坦ではなく、そもそも拳法で解決しきれない問題もある。だからこそイップ・マンが悩むことに親近感が湧き、自分ごとのように感じられる。  

  これは「イップ・マン 完結」を見る前に、前三作を観たから、余計にそう感じるのかもしれない。そのため、「完結」単体での評価というよりは、イップ・マンシリーズとしての評価になっている可能性はある。

 

  余談だが、そういう意味では、「劇場版ヴァイオレット・エヴァーガーデン」をTVシリーズをちゃんと観ないで見に行ったのは失敗だったかもしれない。上映終了まで見れなかったので、公式サイトの「5分でわかるヴァイオレット・エヴァーガーデン」だけを観てから行ったのだけど、TVシリーズをちゃんと観てから鑑賞したら、評価は全然違っていた可能性が高い。

 

第1位:パラサイト

  やはりこれが1位である。 

www.parasite-mv.jp

  貧乏な家族が家族ぐるみでIT企業の社長の家族の家にだんだん寄生していく様が、テンポよく描かれており、飽きなかった。また光と影の映像、(階段を)昇る・降りるというアクションが彼らの置かれている立場を表している、という映画ならではの表現に唸った。「これは何を言っているのだろう」という考察をするよりは、「このテーマということは」から色々な仕掛けが見えてくる、面白い映画だった。

  2020年の映画で、唯一2回見た映画である。2回とも面白かったし、文句なしの1位だ。

 

ワースト:とんかつDJアゲ太郎

  何がどうひどかったかは、以前にブログで書いた通りである。 

townbeginner.hatenablog.com

  懇親会でも、どれだけこの映画がひどかったか、原作ファンとしてどれだけ悲しかったか、うっかり熱く語ってしまった。とんかつDJアゲ太郎を知らない人に対して、

「皆さんの好きなトンカツが原作のとんかつDJアゲ太郎、そこから中の肉を抜いたのが映画のとんかつDJアゲ太郎*1

  と説明したけど、実は気に入っている例えなので、今後もし映画のとんかつDJアゲ太郎を説明することがあったら、使うことにする。

 

  改めて振り返ると、ベスト3の感想よりもワーストの感想の方が熱量が入っている。本当に僕は、映画「とんかつDJアゲ太郎」を楽しみにして、そしてがっかりしたんだなと実感してしまった。

 

  東京は再び緊急事態宣言が発令された。映画館にも影響が出て、20時以降は上映されない可能性が高い。今後の動向が心配だけど、どうか今年も映画がちゃんと見られますように、と願う。

*1:美味しんぼの富井副部長の悪口を言いたいわけではないです。念の為。