今日も知らない街を歩く

雑記に近い形でちまちま書いていきます。

10年間記録し続けたライフログが無くなる日

はてなブログ10周年特別お題「10年で変わったこと・変わらなかったこと

 

  はてなブログのお題があったので答えてみる。

 

  10年経って変わった事ならいくらでもある。10年が経った今は結婚していないし、居住地も変わってるし、会社も変わっている。人狼は始めていたけど、バックギャモンもポーカーも始めていなかった。SwitchもPS4もまだ持っていなかった(発売されていなかったから当然だけど)。勉強する内容も、英語学習から数学に変わったし、技術的な関心もプログラム言語からSQLやデータベース、データに関する内容が多くなった。働き方もオフィスへ出社するのではなくテレワークになったし、スーツも着なくなった。20年以上使い続けた革靴も処分した。和服を着るようになった。以前ほど牛肉・豚肉の油が美味しいと思わなくなった代わりに、青魚を美味しいと思うようになった。魚料理を作ることが増えた。

 

  衣食住全てが、10年前から様変わりしてると思った。だから、変わったことをテーマにすればいくらでも書けそうな気がする。では、10年前から変わらなかったことは何かあるのだろうかと、自分の身の回りを見渡した。机の上を見て、10年前から変わっていないことを見つけた。

  買い物を終えた後、レシートをScanSnapで取り込み、Evernoteに保存する行為である。

 

ライフログが光ることを夢見て10年

  10年前、「ライフログ」という言葉に興味を持った。最初に概念を知ったのは、「ネットで成功するのはやめない人たちである」という本である。

 

  余談だが、俗に「ネット芸人」と呼ばれている人々を見ていると、この本の説得力はさらに増すように思う。やめない人たちとは、潰れずに続けている人たちという意味でもあり、自分が息を長く続けるためのプラットホームを築けている人である。今となっては、そうとも読める。

  当時はEvernoteを使いこなすことに熱心だったこともあり、Evernoteと相性の良いライフログというコンセプトが非常に興味深く、夢中になって読んで実践し、ブログ記事もいくつか書いた。自分が何をしたかをとにかく記録することで、どんなに小さな活動でも、それ自体がログとして意味を持つことは、とても楽しく夢のあるコンセプトだった。その名残は、例えば時間に関する課題が存在する場合、まず時間を計測し、ボトルネックに探して手当をするという一連の活動をするという形で残っている。プライベートはともかく仕事ではかなり有用な技術のため、これは良かったと思う。

 

  しかし、ライフログの記録行為の一つである「レシートをScanSnapで取り込んでEvernoteに保存する」行為は、悲しいかな、今はほとんど役に立ちそうにない。理由は、iPhoneアプリのEvernoteが全く使い物にならないからである。

 

10年経って象より重く動きが鈍くなったEvernote

  これはEvernoteの問題なのか、自分が10年かけて取り込んだライフログが多過ぎるためなのか、iPhoneのEvernoteが全く機能しなくなった。具体的には、起動しても一切動かない。


www.youtube.com

  計測してみたところ、立ち上がるのに4分かかっていた。毎回立ち上がるのに4分かかるアプリは全く使い物にならない。起動した後も、PC版と同期を行うのに相当な時間がかかる上、同期終了後も検索がちゃんと引っかからず、正確な結果が出ない。「そういえば、前回あそこで買い物したの何日だったっけ」と検索しても、1ヶ月以内に記録したはずのノートがヒットせず、昔の古いノートしかヒットしない。

 

  もうライフログを記録しても、肝心のEvernoteがアプリがこれでは、ライフログを記録する意味がないのではないのではと最近思うことが増えた。しかし、すっかり習慣化されてしまった行為を止めることの気持ち悪さ、ここで止めてしまうとこれまでの記録が無駄になってしまうのではないかというサンクコストに対する悩み、ひょっとしたらEvernoteが何らかの形で改善するではないかという非常に薄い期待、そういった諸々の理由で、結局今もレシートをスキャンして記録している。この習慣のおかげで家計簿アプリも続いているので、決して悪い話では無い。けれども、10年続けている習慣が今やほとんど役に立たないという事実を突きつけられるのは、心にくるものがある。

  今、僕はこの習慣を止める気は無い。しかしその理由は前述の通り、「いつかは役に立つかもしれないから」という程度の後ろ向きの希望である。ポーカーでサンクコストは幻想だと学んだつもりだったけれど、実際に巨大なサンクコストに出くわすと、適切な判断を下すのは本当に難しいのだと思い知った。

  いつかは僕も10年分のレシート・ライフログをお別れをしないといけないのだろうか。

 

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  10年以上使い続けているScanSnap。最近は勝手に重なりを検出したり紙詰まりの頻度も増え、ちゃんと取り込んでくれないことが増えてきた。そもそも、スキャナを買ったのはライフログを記録するという目的だった。今となっては、参照頻度は低そうだけど保存しておいたほうが良さそうな書類をとりあえず保存するのには非常に適していて、生活に欠かせない機器になっている。スキャンのおかげで家から書類をだいぶ処分できた。

 

  調べてみたら、ScanSnapもバリエーションが増えていた。iX1300が後継モデルだが、モバイルタイプも場所を取らないのでありかもしれない。スキャンを買い替えたら、レシートをスキャンしてEvernoteに保存する習慣も終わりを告げるのかもしれない。スキャナーの寿命は大体3年から5年なので、10年使い続けているというのは明らかに長い部類に入る。当然今使っているスキャナーはとっくに販売を終了しており、何かあったら買い替える一手である。

  望む望まないに関わらず、自分と環境のどちらかが変わったら、人間も環境も両方変わる。10年経っても変わらないことは、驚くくらい少ない。