今日も知らない街を歩く

雑記に近い形でちまちま書いていきます。

知っている街の知らない処を歩く

  休暇が取れたので身の回り諸々を整理。軽く部屋の片付けを済ませて美容院へ。特に問題なくカットを終えると本日の用が終わってしまった。そのまま帰るのも少しもったいない、神保町でも散歩するかと思い、地下鉄で向かう。

 

  駅から出て、何度も通っている神保町ではあるけれど、行く場所は結構決まっているなと気付く。今まで行ったことのない場所は、例えばどういうところがあるのだろう。そう思い、試しに一度も訪れたことがない場所・店に入ることに決めた。

 

  いつも居心地の良い場所へ足を運びメンタルを回復させていた。もちろんそれ自体は何も悪いことではないけど、いつまでもメンタルを回復させているだけで何も冒険しないと、リスクを何も取らないのと同じで、いつか大きなものを失うのではないかという不安に襲われた。

  そんな不安を抱く理由は別に無い。でもその不安を振り払う事ができなかった。それであれば、今日一日ぐらい少しぐらい居心地の悪い思いをしたとしても、知らない場所に行ってみよう。

  神保町をぐるぐる歩きながら昼を食べる場所を探した。ついついカレー屋やいつもの店に惹かれてしまうが、いやいや駄目だと心を振り切って歩いた。たかだか昼を食べるだけで大げさだなと思う自分がいると同時に、Google Mapを使わないで昼食の店を探すぐらいでストレスを溜めてしまう自分に気付いてゲンナリしてしまった。

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  ロシア料理店サラファン

  ロシア料理の店を数件見かけて、こんなところにもあるのかと思い入った。誕生日だからというわけではないけど、休暇らしいことを一つしてみようとビールを頼んだ。
  注文したのはピロシキランチ。ピロシキは揚げパンのイメージが強く手づかみで食べるものだと思っていたから、ナイフとフォークを使いながら食べるのは新鮮だった。値段的にはちょっと高かったけど、ピロシキもボルシチも美味しかったから、今度は別のメニューを食べて見ることにする。

   お気に入りになりそうな店が一軒増えた。正しくリスクを取れたと思った。

 

  サウナよろしく居心地の悪い場所と居心地の良い場所を交互に行こうと思い、今度は居心地の良い場所としておなじみ眞踏珈琲店へ足を運ぶ。書き物をしながら、しみけんさんとポーカーの雑談をしつつ、いったん帰宅。書物の整理を終えて再度出かける。

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  銀座に行くのは昼と夜だけで、こういう夕暮れ時にはあまり来なかったとぼんやり思う。少し陽が落ちて建物が紅く照らされる様子は、終りと始まりが交わる姿にも似て、しばらく見続けていた。

  居心地の良い場所へ行ったので、今度はリスクを取って知らない場所を歩いて回ることにした。

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  ウォッカ専門店Van Gogh。銀座には歯ブラシやサーモン、果ては隕石など珍しい専門店があるのだけど、ウォッカ専門店は知らなかった。入ってみると、店主がウォッカの試飲を勧めてきた。キャラメルフレーバーのウォッカは思った以上に口当たりが良よく、ちびちび飲むのに最適そうだった。

  ウォッカと聞いて、ロシアとウクライナの戦争の影響はないか尋ねた。案の定、去年は大打撃だったらしい。ただ今年に入り貨物は回復基調にはあるとのこと。

  二口目として試飲を勧められたコーヒーフレーバーのダブルエスプレッソも、カクテルや牛乳、コーヒーに合いそうな味だった。自宅のベイリースがもうすぐ無くなりそうだったことを思い出して、試しに購入。容量はそんなに大きくないが、気に入ったらまた買い足す。

  

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ジンジャー専門店、銀座のジンジャー。ジンジャーシロップは前から興味があったけど買う機会が無かったので、良い機会だと思い購入。購入したのはシンプルなプレーンタイプ。試飲したドライはピリッとした感じで好みだったけど、コーヒーや紅茶と混ぜるならばプレーンのほうが使いやすいという店員さんのアドバイスに素直に従った。
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銀座の街をあてもなくぶらぶら歩く。夕飯をどうしようかと考えていたら気になる店があった。しかしあいにく満席だったため、再びぶらぶら歩く。

 

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  1時間半ぐらい銀座を歩いて、思った以上に中華料理店が多いことに気付いた。街中華も高級中華もあり、バラエティに富んでいた。昼間感じたストレスが何故か銀座を歩いている時は全く感じなかった。慣れたからか、ウォッカでほろ酔いになっていたからなのかは、よくわからない。



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  京華小吃の麻婆茄子。麻婆茄子を食べるのは久々だったことを思い出した。酢を入れるという発想は無かったけど、さっぱりして食べやすかった。ハイボール・カクテル系とよく合った。

 

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  銀座みゆき館の和栗モンブラン。

  和栗モンブランは持ち帰って食べていたけど、店内で食べる事は無かったことに気づいて店内で一服しながら食べた。そもそもモンブランを食べるのも相当久々だった。

 

  「休日に知らない処に行ってみる」。よく考えたら今まで一度もやったことがなかった。事前に目的地を設定して、そこがたまたま知らない街だから周辺を試しに歩くというのはやっていたが、一切目的も定めずに歩いたことは無かったかもしれない。あるいは過去にやったとしても記憶にない。

  考えてみたら、「目的を定めて何かをする」という生活をここ何年も公私に渡ってやってきた。仕事はもちろん、私生活もそうしないと何かに取り残されてしまう気がして焦りがあった。もちろん楽しいこともたくさんあったし成果も出ているけど、あてのない旅というか、ふらりとした無重力の状態に精神を置かないと、いつかぷつりと電池が切れてしまう状態になってしまいそうで心配になった。

  「リスクを取らないといつか大きなものを失うかもしれない」は、恐怖に駆られた行動で焦るばかりだ。でも「いったん精神も無重力にしてみる」なら、試しにできそうだ。

  折りに触れて、精神を無重力の状態に置くのは良いことなのだろう。無重力日をGoogleカレンダーに追加した。

 

puzzliar.com

  文章を書き続けていたら「ライアーミステリー」なる企画のシナリオ制作にお声がけをいただき、自分の誕生日にプレスリリースいただくという誕生日プレゼントをもらった。大変ありがたいことである。

  この記事(日記・記録)は、自分ですら忘れてしまうような何でもない記事だ。でも、この文章を書き続けないとライアーミステリーのシナリオは書けなかったと確信しているし、自分の文章のコアな部分はこういった記事に宿っていると思っている。いくら表現が稚拙でも構成が歪でも、自分という内側と街という外側が邂逅する瞬間に考えることは、自分のコアになっている。