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今日も知らない街を歩く

雑記に近い形でちまちま書いていきます。

交通事故防止コンサルタントが語る自動車事故の防止方法 -事故の最大の原因は運転技術ではない-

生活 考察

 HOPE100セミナー*1日本で唯一の交通事故防止コンサルタントが語る「事故が起きる法則、起こさない法則」」に参加しました。

  今回の講師は有限会社ディ・クリエイトの交通防止コンサルタント、上西一美さん*2。交通防止コンサルタント、という肩書は初めて知りましたが、業界では有名な方のようで、会場にもタクシー業界と思われるスーツを着た人が多かったです。

 

自動車事故の最大の原因は、運転技術ではなく「見落とし」

 講演は、上西さんが交通事故の分析で使っているVTRを見ながら進みました。このVTRは、ドライブレコードで録画されたものです。つまり、見たのは実際に事故が起こる直前から直後までの生々しい映像でした。さすがに死亡事故はありませんでしたが、ひどい事故が多かったです。「もし気分が悪くなったら目を伏せてほしい」とアナウンスが事前にあったのはこのことだったのか、と思いました。

 

 上西さんいわく、

事故の原因と運転技術はあまり関係がありません」。

 なぜ関係が無いのか。事故の原因の9割は「見落とし」、つまり目から入る情報を処理できないことが原因だからです。では、なぜ見落としが発生するのか。主な原因は以下です。

  • 焦り
  • 思い込み
  • 携帯電話
  • 長時間運転

 特に前者3つは、運転に慣れているほど注意しないといけない内容です。以下、詳細を記します。

 

当たり前の注意を妨げる「焦り」と「思い込み」

 VTRを見ていて事故が起こった瞬間、会場から悲鳴があがりました。VTRを見ている限り、なんでこんな事故が起こるのかわからないような状況でした。しかし、

これはタクシー内で酔っ払いが暴れていた

左側前方に知り合いの車があり、本当に知り合いか確認しようとした

 と上西さんが状況を説明し、それでも本当に事故を起こさないと断言できるかと会場に聞くと、ほとんどの人が首を横に振りました(僕も首を横に振りました)。 人は何かを確認するとき、顔をその方向に向けます。さらに、何かを見ようと集中すると集中すると、たった4度くらいしか人の視野は無くなります。そういった状況に陥ってしまうと、進行方向を見れなくなるため事故が発生しやすくなります。これが「焦り」の罠です。

 同様に「思い込み」もほとんどの人が陥る罠です。夜間に車を運転する時はライトをつけます。自転車も同様です。つまり「ライトが見えたら、向こう側に車があると思っていい」ことになります。危険なのは「だから、ライトが見えなかったら向こう側に車は無い」と思い込んでしまうことです*3実際に無灯火の自転車を跳ねてしまったり、さらには道のど真ん中を歩いていた高齢者を跳ねてしまう映像を見てしまうと、全くその通りだと深く実感できました。

 

16時間以上の運転は飲酒運転と同じ

 飲酒運転は言語道断ですが、それでは体からきちんとアルコールが抜けるのはどれぐらいの時間が必要なのか。それをきちんと理解していないと飲酒運転とまではいかなくても運転は危険なものになります。目安として、ビールの中瓶一本分のアルコールが体から完全に抜けるのには大体4・5時間かかります。これが2本になるとその倍の時間かかります。ちなみに寝てもペースは変わらずむしろ抜けるペースが遅くなるという説もあるそうです。また、年を取ると酒が強くなるというのは、単に頭がマヒしてそう感じるだけで強さは変わらないそうです。僕自身は下戸なのですが、それだけに酒との付き合い方をもう一回考えようと思いました。

 また、見落としの主要原因として上げられている「長時間運転」ですが、16時間以上だと飲酒運転と同じような状態になるそうです。長時間運転が原因で事故を起こした事例のVTRを見ましたが、その人は事故を起こした後、さらにアクセルを踏んで壁に激突してから、なぜかワイパーを動かしてました

 運転しながらの携帯電話の使用は法律で禁止されていますが、その理由は「どうしても携帯電話に注意が行くから」。携帯メールを打ちながら運転しててありえないような事故を起こすVTRを見ると、全く反論の余地は無いように思えます。

 

事故は必ず大惨事へ続いている

 二つのVTRを見せられ、賠償額を聞かれました。一方は後方不注意でバイクを跳ねた結果、トラックの下にライダーが入り込んでしまったケース。もう一つも後方不注意でバイクを跳ねたのは同じですが、ライダーが道路に投げ出されたケース。前者は2億7千万、後者は15万でした。賠償額は大幅に違いますが、後方不注意で事故を起こしてしまったという本質的な根っこは一緒です。事故の規模は運転手とは関係のないところで決まるのでどうしようもありません。だからこそ、事故を起こしてはいけないのです。どのような事故も必ず大惨事へ続いているからです。

 

 

事故を起こさないためのABC

 最後に「事故を起こさないためのABC」の説明がありました。

A:当たり前の事を

B:馬鹿にしないで

C:ちゃんとやる

 殆どの人はその通りとうなずくでしょう。しかし、ふとした瞬間や慣れが、この事故を起こさないためのABCを妨げるということも覚えておかないといけません。例えば一時停止の場所では止まって「きちんと左右を確認する」ことは当たり前だと教習場で習いますし、運転手も認識しているでしょう。しかし、そんな当たり前のことを忘れることで起こる自動車事故は本当に多いです。上西さんいわく、 「試しに一時停止の場所で観察したところ、一時停止のところできちんと止まる車は全く無かった」 そうです。ブレーキランプがついておしまい、という車ばかりでした。

 

 たくさん伝えたいことはありますが、はっきり言ってここで書いたことよりも実際の事故映像の方が何倍も説得力があります。それでも、せめてこうやって文字に起こして少しでも伝えたいと感じました。

 

 奇しくも、本日運転免許証更新のお知らせが届きました。ペーパードライバーですが、運転するときは今日の内容を肝に銘じます。それにしても免許更新時の講習にこの講習をやってくれないものでしょうか。非常に説得力があるし、交通事故の防止にかなり効果があると思うのですが。

 

 それでは、また。

*1:HOPE100については公式ページをどうぞ。

*2:上西さんのFacebookこちら

*3:会場からお客さんが出て体験していましたが、確かに気付きにくかったです。