さんぽ神というゲームがある。
drosselmeyers.com
以下、ゲーム紹介。
このゲームをペラペラめくると、「どこで」「なにをする」という神のお告げが、1936種類も出てくるぞい。
「緑の多い場所で」「ふだん聴かない音楽を聴こう」
「高い建物を目指して歩いて」「動物の絵を探そう」
プレイヤーはそれに従って、実際に街を散歩するんじゃ。勝ちも負けもなし!どうじゃ?神ゲーの予感じゃろ?
単語帳のようなカードをめくって、実際に町を歩く神ゲー。タウンビギナーの名を持つものとして、このゲームをやらないという選択肢はありえない。友人から誘われて、今回が2回目の参加である。
普段の散歩であれば、特に目的も決めずぼんやりとエリアを決めて散策するだけだ。 しかし、さんぽ神ではそうはならない。クリアすべき目的が必ず神のお告げとして出てくる。そしてこちらの目的に関わらず、街はこちらの都合を聞いてくれない。
だからこそ、普段なら何も気に留めないような看板、地名、ビルの谷間の公園、道路標識、誰かの記憶の中にだけある不穏な場所まで、急に意味を持ち始めることになる。
以下、さんぽ神を遊んだ記録を書く。雰囲気だけでも味わっていただけると幸いである。
ちなみにさんぽ神にルールとして記載されているわけではないが、「移動中、目的を達成するまではGoogle Mapを参照してはならない」という独自の縛りプレイを追加したルールで遊んでいる。
出発点は前回の終着点。赤坂見附。
しかし同行者の一人、futo氏が電車遅延で大幅に遅れると連絡があったため、まずはsgmt氏、Michelle氏、タウンビギナーの3人で行動開始。
最初のカードはこちら。


【一級河川を渡って】【公園を見つけるごとにラジオ体操をしよう】
そもそも一級河川って何?と調べてみた。こういうときChatGPTは非常に便利。
一級河川は、国として特に重要だと指定された水系に属する川です。
洪水対策や水利用の面で、全国的に影響が大きい川が対象になります。たとえば利根川や荒川などです。
違いは、ざっくり言うと重要度と管理者です。
- 一級河川:国が指定。基本は国土交通大臣が管理
- 二級河川:地域的に重要な川。都道府県知事が管理
- 準用河川:市町村が指定・管理
- 普通河川:それ以外の小さな川などで、河川法上の河川ではないもの
つまり、「一級」は川の大きさやきれいさのランクではなく、国として管理する重要性の区分です。
国が指定するような川だから、大きな川を目指せばよさそう。
しかし問題は、ここが赤坂見附だということである。川があるような場所ではない。近くに川がないか、街中にある地図を探してみる。Google Mapを使えないので、こういう時に街中の地図というものがいかに大切かがよくわかる。

近くに川らしい川がなく、あったと思ったら堀だった。ひとまず新橋の方へ行けば海の方に出るだろうということで、虎ノ門や新橋に向かう。
10時出発だが、意外と日差しは強い。公園に差しかかったらラジオ体操をしなければならないが、公園らしい公園は特にない。都心なので、この近くであれば芝公園があるはずだが、それ以外は確かに公園はなさそうだ。と思いきや。


ビルの谷間に、しっかり公園があった。ビルに囲まれていたので公園と認識していなかったが、この看板を見る限りは公園である。公園に着いてしまったので、YouTubeでラジオ体操を再生し、三人でラジオ体操第一をやる。

直立不動の姿勢から、きちんとラジオ体操第一。
通行人が見ているような感じもしたが、羞恥よりも自身の健康であり、そもそも羞恥を感じる理由などない。こちらは公園で朝から健康のためにラジオ体操をやっているだけである。
堂々とラジオ体操第一を完遂。
子供の頃は、朝6時に起きてやるラジオ体操の何がいいのか全くわからなかったが、大人になった今だとよくわかる。身体をほぐすのにちょうどいい。
実際、歩いている最中、右側の肩甲骨に違和感を感じるかなというレベルで少し痛かったのだが、ラジオ体操第一をやったあと、違和感が少し軽減された。ずっと続いているだけのことはある。
道中futo氏と合流し、川へ向かう。途中に(予想通り)芝公園があったので、こんどは四人でそこでラジオ体操第二を行う。運動強度はラジオ体操第二の方が強いなと思いながら実行。しかし3分そこいらで体をアクティベートさせることができるのであれば、確かに効率的ではある。ラジオ体操はよくできている。

芝公園で外国人が写真を撮っていたが、確かに東京タワーと寺が同時に入るというのは、フォトスポットとしてよくできている。
芝公園を通り抜けて、地図にあった川に到着。古川というらしい。看板などがないので、一級河川かどうかわからない。判定のためにネットで調査。

まさかの二級河川だった。無念。
地図を探し、日の出の方に行けば運河がある、という推理に至り、芝浦の方を目指す。

新芝浦橋に到着。ここの芝浦運河を調べたところ、一級河川であることがわかったので、ようやく第一ミッションクリア。ここまで2時間経過。一級河川を探すのは、場所によって難易度が全然変わる。
次のお題を引く。
【カッコいい地名のところで】【誰かに電話してみよう】


カッコいい地名はどこか?というところで、周りを探してみる。芝一丁目は、よく考えたらカッコいいのではないかという意見に賛同が集まる。つまり、満場一致で「芝」はカッコいいということに決定。
ミッションをクリアしたので、誰かに電話することに。共通の知人がいいということで、試しに名古屋にいる友人に電話してみることにした。
電話に出た。どうやらイノシシを食べているらしい。「俺もイノシシが食べたい」みたいな軽い会話を交わして終了。みんな、いろんな休日を楽しんでいる。
時間がちょうどよかったので、近くにあった隠れ家dining 芝nekoで昼食。

調子に乗って、昼間からビールを飲む。沖縄ポークカレーも美味しかった。
次のお題へ。
【カタカナの入っている地名のところで】【高級なものを探そう】


カタカナの入っている地名。たまプラーザ、高輪ゲートウェイなど、いろんな意見が上がるが、港の方に行けば「ボートなんたら」というような地名が見つかるのでは?という意見があり、とりあえず新橋・ゆりかもめ・竹芝の方を目指すことに。
道すがら、新橋SL広場にあるような車輪だけのオブジェがあったので、珍しいと思い写真を撮る。

新橋赤レンガ通り?
カタカナの地名である。予想外のクリアをしてしまった。
とりあえずミッションをクリアしたので、高級そうなものを近辺で探すことに。うなぎ屋とかあるか?でも、うなぎはもともと高級なものだから、もうちょっと意外性のあるものがよいだろうと探す。

モデルカーの店。
どれも手が込んでいて、値段もそれなりにしそうということで、高級なものとして扱うことに。ちなみにこのビルの向かいにはタミヤの旗艦店があったので、モータースポーツ好きの間では有名だったりするのだろうか。
次のお題へ。
【タクシーで前の車を十分間追ってもらって】【かっこいいネーミングのものを探そう】


ここで、面白そうなお題であることに名残惜しさを覚えながらも、同行者futo氏が別件のために離脱。
新橋駅でタクシー乗り場へ行き、タクシーに乗り込み、
「前の車を追ってもらえませんか?」
と告げた。
映画やドラマでしか聞かない台詞だ。しかもこちらは刑事でも探偵でもなく、ただ散歩ゲームをしているだけの大人三人である。
しかしドライバーは
「あ、前の車ですね」
と言って、何事もなく発進した。
プロである。
タクシー運転手は、そういった依頼があるのか、特に驚いた様子もない。というか、よくよく考えたら団体で移動する時には、何台かのタクシーに分かれて乗ることもあるので、
「すみません、前の車を追ってもらえませんか?」
と頼むことはあることに思い至る。
我々は映画やドラマの登場人物ではなく、ただの日常人だった。
しかし、途中で信号に阻まれて前の車を見失ってしまう。どうしたものかと迷ったが、途中で車が割り込んできたので、
「すみません、やっぱりその前の車にしてもらえませんか?」
とタクシーの運転手に依頼。特に不審がる様子もなく了承してくれたが、さすがにこんな依頼は受けたことが無いだろう。内心「なんだそれ」と思ったに違いない。
こうして我々は日常人から脱却したのであった。いいことなのかどうかはわからない。

10分ほど経って、着いたのは皇居前。皇居ランナーや外国人が多くいた。
皇居まわりで最もカッコいいネーミングは桔梗門。クリア。
次のお題へ。
【自分は場違いかも?と感じる場所で】【鼻歌を歌おう】


皇居の中で場違いなところといえば、思いつかないでもない。だが、そういうところはそもそも一般人は立ち入ることができない。
オフィス街なら、休日の我々は場違いではないのか?と思ったが、それなりにちゃんとした格好をしていたので、そこまででもないなということで却下。

「さすがに我々が警視庁にいるのは場違いだろう?」
と意見が一致し、警視庁に到着。さすがに警視庁の目の前で鼻歌を歌っていたら警備の人に怪しまれるし、余計な手間をかけさせてしまうので、少し離れたところで鼻歌を歌ってクリア。
次のお題へ。
【あまり好きではない場所で】【心霊現象を探そう】


あまり好きではない場所。しかも心霊現象って?という、相当難易度の高いお題。
しかし、カードをめくった同行者Michelle氏によると、昔この辺に営業に来ていて「ここ絶対なんかおる」という心霊スポットがあるらしい。
「確か地下にあった。地上にはキッチンカーがあった。」
という彼女の記憶だけを頼りに、大手町をひたすらうろうろする。地上へ出たり、地下に潜ったりを繰り返しているうちに、それっぽい場所を発見。

確かに、『真・女神転生』に出てきそうな場所と言われても違和感がない。天井が低く、ライトはあるけど地面の鈍い反射と相まって明るさが歪になっている。空気が流れる様子が無く、こもった空気が溜まっている印象を受けた。心なしか歩く音もこもった音の反響のようで、良い心地はしなかった。
土曜日だったから営業はされていないようだったが、あんまり長居するもんでもないと思い、クリア。確かに、何か心霊的な事件や事故があったとしても納得してしまう。
「本当に好きじゃないんだよな……なんかおる……」
というMichelle氏のやつれた顔を撮影して、ミッション完了。
【国道に出て】【手書きの文字を探して味わおう】


国道を探そうと、とりあえず地上へ。道路標識を確認したところ、ここが国道の通り道であることがわかったため、あっさりクリア。
手書きの文字といっても、大手町というオフィス街。そういうものがあるか、と少し思案した末、地下に行けば居酒屋の手書きメニューがあるのではないかと思い、地下へ。
しかし、手書きの文字は思わぬ場所で見つかった。

ドラッグストアのコーナーに限らず、入浴剤などもしっかり手書きで書かれている。書店でも見ないくらい手書きのポップがあふれているため、このドラッグストアは相当気合を入れているなと思った。
【オシャレな街で】【カッコいいと思うセリフをつぶやこう】


オシャレな街ってどこだろう、と思っていたら、カードを引いた同行者sgmt氏が心当たりがある、と言ってスタスタと向かうので着いていく。
向かったのは大手町のとあるスポット。

ビルに囲まれた、人工的に整備された緑地。
なるほど、確かに景観もいい。緑も多く、オシャレという意味では納得した。
「東京砂漠」
彼はカッコいいセリフをつぶやいた。
次のお題へ。
【友達にオススメされた場所で】【絵に描かれた動物を探そう】


誰に連絡するのか検討した結果、電話先は全員の共通の知人であるN氏に決定。文学フリマでタウンビギナーのロールプレイをしながら売り子をやってくれたN氏、その人である。LINEで電話したところ、果たしてN氏は電話に出てくれた。
sgmt「あ、Nくん?sgmtです。なんか突然だけど、おすすめの場所教えて」
N「え……うーん……」
sgmt「どこでもいいよ!」
N「えーっと……」
sgmt「パッと思いついたところで大丈夫!」
N「つまらない人間でごめんなさい」
sgmt「あ、その返しは予想通りです」
という会話を経て、下北沢のウサギカフェへ向かう。
ところでN氏は自分をつまらない人間だと思っているらしいが、つまらない人間がタウンビギナーのロールプレイをできるわけがないので、N氏はもっと自信を持ってほしい。
そうでなければ、僕まで「つまらない人間でも簡単にロールプレイできるつまらない人間」になってしまう。
原則Google Mapは使わない方針だが、さすがに場所の特定が必要なため、Google Mapを使って場所を特定し、下北沢に向かう。

おすすめしてくれたウサギカフェは閉店していた。代わりに入っていた店には犬の看板があったので、あっさりクリア。
次のお題へ。
【適当に乗り換えつつ30分後に電車を降りて】【顔に見えるものを探して人物を想像しよう】


「適当に乗り換えをする」というお題のため、できるだけ電車で無駄に乗り換えをしようと意見が一致する。
今は下北沢にいる。乗り換えが多い方角へ向かうとすれば、まずは井の頭線に乗り、明大前から京王線に向かう方がより多く乗り換えができるのではないか。ということで、その作戦で動く。
予定通り明大前で京王線に乗り換え、調布方面へ向かう。20分ほど乗って調布へ到着。
ここで乗り換えのプランが二つ。各駅停車であれば京王稲田堤まで行ける。急行であれば京王永山・多摩センター方面まで行ける見込み。先に来た方に乗ろうということで調べた結果、各駅停車の方が先に来るので乗り込む。

京王稲田堤で、顔っぽいものを発見し、お題を終える。理知的で優しそうな顔だと思う。
次のお題へ。
【タクシーで「千円でおまかせ」で走ってもらって】【美しい写真を撮ろう】


タクシーシリーズ第二弾。ところが困ったことに、大通りに出ても、駅に出てもタクシーが見つからない。このままではいつまでたってもお題がクリアできないため、諦めてタクシーアプリでタクシーを呼び出すことに。
しばらく待って、やってきたタクシードライバーにお願いした。
「ここから千円程度で、美しい写真が撮れそうなところに連れて行ってくれませんか?」
明らかにタクシードライバーは困惑していた。それはそうだろう。わざわざアプリで呼び出されて、さてどこへ向かいたいのかと思っていたら、「千円でおまかせ」という、それほどタクシー代が稼げない上に、自分の判断力と審美眼を試そうとするオーダーをされたのだ。シェフの気まぐれサラダは適当に作って出してもなんとなく客は納得してくれるが、タクシードライバーの気まぐれスポットは、下手な場所へ連れて行ったら客にダイレクトに迷惑がかかってしまう。しかも料金はシェフの気まぐれサラダより安い。割に合わなすぎる。
しかしそこはプロ。タクシードライバーはよみうりランド方面へ連れて行ってくれた。
「1,000円だとちょっとオーバーしちゃうんですけど」という一言も添えてくれたので、大当たりのタクシードライバーであった。皆でドライバーに感謝の言葉を述べてよみうりランドへ。

よみうりランドに到着。各々美しい写真を撮る。
ちょうど夕方、夕暮れ時だったので綺麗な写真が撮れた。
良い時間なので、次でラストにしよう、と決めてお題を引く。
【町名を2つ越えて歩いて】【落とし物を探そう】
そもそも「ここは何という町名なのか?」という問題にぶち当たる。
よみうりランド周辺には住所が書かれた電信柱も家もなく、地図がない。
さらに、よみうりランド周辺から歩いて移動するにしても、歩道が心もとない。
ということで、まずはスカイシャトルに乗ってよみうりランド駅まで行こう、ということになり、スカイシャトルチケットを購入。よみうりランドに入場するわけでもないのに、よみうりランドのスカイシャトルには乗るという、今後おそらく二度とやらないであろう行動を取る。

スカイシャトルのチケット、お金を入れて買おうとしたら、なぜか2枚買ってしまい焦る。間違えて買ったから返金して欲しいと交渉しようかと思ったが、スカイシャトルの出発が近づいていたため、泣き寝入り。間際に迷惑をかけるわけにはいかない。


お題は終わっていたが、スカイシャトルからも美しい写真が撮れた。

道中、KALDIのエコバッグが落ちていたので、とりあえず落とし物ミッションはクリア。
問題は、「町名を2つ越えて」という部分。そもそもここはどこかわからないのに、どうやって2つの町を越えようかと悩んでいたところ、ローソンの「矢野町口」という店名から、ここは矢野口であることが判明。少なくとも京王稲田堤の方に戻れば町名2つは越えられるのではないかということで、ひたすら歩く。

ただし、Google Mapもなく、地図のない住宅街のため目印もない。街灯はあることはあるが、心もとない。歩きながら「本当にこの方向で大丈夫なのか?」という不安に駆られながら、ひたすら話しながら歩く。田舎で地図のない街を歩くのが、こんなに不安になるとは思わなかった。途中、地元の人とすれ違ったり、追い抜かれたりしたが、
「こっち、京王稲田堤の方だよな?」
と不安になりながら、電車の線路のある方角から離れすぎないように歩く。
不安になりながらも、無事に20分ほどかけて稲田堤駅に到着。調べたところ、よみうりランドがあるのは神奈川県(住所上の登録は東京都稲城市だが、Google Mapを見る限りでは東京都と神奈川県にまたがるエリアだった)、京王よみうりランド駅があるのは東京都。県を跨いでいるならさすがに町名は越えているためクリア。

ここが最終ゴールのため、次回は稲田堤からスタート。参加者の誰もここから近くないので、次回の集合は遅刻しないように気を付ける必要がある。


「疲れた貴方の為のサワー」で乾杯。帰宅後に歩数を計測したところ、35,000歩だった。こんなこともあろうかとランニングシューズを履いていたのだが、それでも右のかかとに豆ができていた。
目的地はカードが決める。道は街が決める。自分たちはその場その場で、くだらない相談をしながら歩くしかない。そしてその勲章として僕は豆を作った。
なかなかハードな遊びだった。本気で一日中遊ぶというのは、やっぱり楽しい。