今日も知らない街を歩く

雑記に近い形でちまちま書いていきます。

不運と米に感謝した日 -JOPT(MegaStack)参加記録-

JOPT(Japan Open Poker Tour) の大会があったので参加してきた。
japanopenpoker.com

   ポーカー(ノーリミット・テキサスホールデム)*1をプレイしたのは2・3年ほど前に誘われてプレイしたのが最初である。確かに面白かったのだけど、それ以降プレイはしばらくしていなかった。当時はバックギャモンや仕事や読書など集中すべきことが多かったうえ、プレイするようなきっかけも特に無かったためである。ところが、去年辺りから人狼界隈の友人たちがこぞってポーカーにハマりだし、あれよあれよと言う間に一大勢力になってしまった。結果として、オンラインでできるポーカーゲームの存在を知ったこともあり、今では一日一回オンラインでポーカーをプレイしている。 

 

 

  前置きはこれくらいにして、本題。

  参加したのは「MegaStack」というイベント。各ポーカールームで事前に実施されたサテライトトーナメント通過者のみ参加できるMain Eventとは異なり、当日エントリーすれば誰でも参加できるトーナメント。全部で400エントリー程度で、ポーカーテーブルがMAX9人のため、40卓以上立ってプレイすることになる*2。これまでオンラインや身内の大会ぐらいしか参加しておらず、アウェイ感を感じることは予想がついた。なので、付け焼き刃でもなにもないよりはマシだとばかりに、事前にポーカールームでプレイしたり専門書を買い漁ったりしていた。

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  当日、会場近くのドトールにて。ポーカー入門書として名高い「フィル・ゴードンのポーカー攻略法 入門編」を読む。

 本当は10回以上読むべきなのだけど、結局時間が取れず2回程度しか読めなかった。

 

 

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  米柄の手ぬぐい。

  当日の戦闘服こと、新調した浴衣合わせる手ぬぐいを探していたら見つけたので購入。「ライスラン」*3という験担ぎ。

 

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  30,000点持ちで大会開始。しかし序盤はブラフが通用しなかったり、強い手でレイズしてもコミュニティボードとの相性が悪かったりで大苦戦。結局いいところも無く、1時間程度でチップをすべて失い終了。リエントリーが可能な時間帯だったため、リエントリーして再度参加。テーブルも変わったため、

  • 誰がどんなタイミングで参加するか(しないか)
  • 自分のポジションが良ければ参加、悪ければフォールド

を念頭に入れてプレイ。苦しいながらも生き残りブレイクタイムを迎える。

 

  ブレイク後、平均以下のスタックだったので勝負を掛けるべく A9でオールインしたらAKを持たれてあっさりコール。絶体絶命。

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  しかしリバーで9が開いてまさかの大逆転。非常に有利なハンドを持っているプレイヤーが、あり得ないような成り行きで負けてしまうことを「バットビート」というのだけど、今回はまさにそのバットビートが起こってくれたおかげでチップを大量に増やせた。相手はチップリーダー(一番チップを持っている人)だったけど、このハンドも含め2連続でバットビートをくらい、一気にショートへ転落してしまった。自分が助かったとはいえ、さすがに気の毒だった。バットビートを食らうと当然ショックだし平常心を保ちにくくなるのだけど、その裏には助けられたプレイヤーも居るし、自分自身も今回はまさに助けられた側だった。

  このあと「バットビート」が出たら、天を仰いでがっかりはするけど、まあ仕方ないことだと思えるなと、その時に確信した。そもそも一回バットビートに助けてもらっているのだから、バットビートで負けたところで、帳尻をあわせるだけのことである。同時に、バックギャモンの知識とポーカーがリンクした感覚があった。いま自分のこれまでのプレイをコンピューターで解析したら、おそらく数多くのミスプレイを指摘される。しかし、それはそれとして、現状勝ってはいる。プレイの優秀さと結果は必ずしもリンクしない。結果とプレイの出来を一旦分けて、臨むことにした。

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    このあたりになるとプリフロップでオールインが飛び交う。つまらないハンドで飛びたくはないので、プレミアハンド・ミドルポケットぐらいしか入らないと決めていたけど、チップがショート気味だったので覚悟を決めてオールイン。KQ VS 77の対決。分の悪い勝負ではあったものの、フロップにQが落ちてくれたおかげで勝利しダブルアップ。米柄てぬぐいで汗を拭う。

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  開始から7時間が経過し、残りプレイヤー16人。プライズ(入賞)は15位からなので、あと1人飛べば入賞。チップはアベレージ以下だが最下位ではないので無理する必要は全く無いと心に決めて、とにかくタイトにプレイ。 

 

  その中の1プレイを振り返る。残り16人、インマネギリギリの時の1シーン。

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  配られたカードはAT。UTGという悪いポジションだけど強いハンドではあるし、いつもだったら迷わず3BBでレイズをしている。しかし、「もしオールインが飛んでコールして、それで玉砕して後悔しない手か?」と聞かれたらNoだと思った。直前にもらった「とにかくタイトに!耐えて!」というアドバイスに従い、ダウン。

  すると案の定、オールインのぶつかり稽古が発生。しかもAJ対JJ。もし入っていたらTを2枚引かないと勝てないので*4、負け戦に挑むところだった。結果としてロスチップ無しで終えられたので正しいアクションができていたことになる。

   そしてこのアクションの数ハンド後、アナウンスが流れて15人となり、インマネ(入賞)となったことを知らされた。後は恐れ過ぎずにプレイするだけである。

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  KQで再びオールイン。相手はA3。 ほぼ五分の勝負だったがボードにAが落ちて終了。今度はKQで勝てず、11位入賞でフィニッシュ。

 

   実のところ、今日プレイしたハンドは前述のUTGでダウンしたハンド以外、ほとんど覚えていない。本来振り返るべきハンドは、終盤のオールイン or フォールドばかりのハンドではなく、序盤でプレイしたハンドである。どのようにベットしたのか、どう判断してフォールドしたのか、ベットする金額は適正だったか、判断材料やアクションの選択肢が多数ある場面こそ、振り返って検証すべきだ。しかし、どうしてもハンドを覚えていられない。バックギャモンならビデオ撮影ができるけど、ポーカーは許可が必要になる上、自分のハンドは撮影ではわからないので、メモを取るなどして覚えるしか無い。「どんなハンドで」「どんなタイミングで」「どんなアクションを」したのかを記憶して再現するのは、間違いなくポーカー上級者が身につけておくべきスキルだ。それができなけば、正しいプレイを再現できない。 正しいアクションは正しい知識や意思がなくてもできるかもしれないけど、それは「正しいプレイ」ではない。「正しいプレイをするには、正しい知識・意志がなければならない。

  その意味で、今回僕は入賞したけど、強いプレイヤーでは全く無い。もちろん入賞は入賞だから嬉しいしお祝いの言葉もありがたく受け取るし自分なりの祝勝会も開くけど、それはそれとして、ハンド談義・ポジション談義をきちんとできるくらいのプレイヤーにはせめてなりたいなとは思う。自分の身の回りにあった素晴らしい出来事を記述できないというのは、やはりもどかしさが募る。

 

  終了後、非常に強い空腹を覚えた。ずっとプレイしていたため、昼食を食べるタイミングが無かった。途中で空腹とも戦っていたけど、いつの間にか忘れていた。それだけ集中していたのだと思う。息をついて、何を食べようか考えながら帰路についた。

 

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  浅草「ヨシカミ」のカレーライス。

  入賞のお祝いとして(より米に感謝できる)ドライカレーと迷ったけど、懐かしさを取りたくて頼んだ。どろっとしたルーの口当たりと大きめで噛みごたえのある豚肉を食べていると、子供の頃、父親と映画を見た帰りに寄ったヨシカミでアルフィーの坂崎幸之助を店内で見たことを思い出す。

 

  きっと人には、どこか帰るための場所が必要なのだと思う。美味しかった。ライスラン。

 

【2021/7/31 09:30 追記】

同大会に参加していたちーさんがnoteを書いていた。

「人狼界隈の友人」で、ポーカーを本格的に始めた時期も同じなので、いわゆる「ポーカー同期」である。前述の通り入賞はしたが強いプレイヤーでは全く無いので、挑戦状を受けて立った上できっちり勝つストロングスタイルのプレイヤーになるための準備を始めないといけない。フィル・ゴードンの本は実践編も買った。入門編を10回読んだ後に読む。

 

 

   挑戦状を受けて立った上できっちり勝つストロングスタイルのプレイヤーになるための準備は、とても楽しい。

*1:ルールについてはこちらが参考になる。

*2:ただしこの辺の説明は、自分自身知識が浅いため間違っている可能性が高い。

*3:ナイスランならぬ「ライスラン」という誤字ツイートがきっかけで、一気に仲間内で流行った言葉。米が走るgifが作られたり大会の商品として米が用意されたりと、一大旋風を巻き起こしている。

*4:上記の図ではクラブフラッシュがあるけど、SB/BBおよびコミュニティボードも正確ではなく、3人のハンド以外正確に思い出せないので考慮外としている。