4年前にスモークサーモン作りにトライしました。
その時作ったスモークサーモンは美味しかったものの、少しパサパサしていて鮭フレークみたいな感じになってしまっていました。なので、いつかもう一度リベンジしたいと考えていました。
そして3年が経ち、年末年始でまとまった時間が取れたので、もう一度トライしてみました。今回は(後述しますが)新兵器も手に入れることができたことも理由です。
スモークサーモンを作る
1.仕入れ
まずは材料となる鮭の仕入れです。
お世話になったのは前回同様、築地の昭和食品。
スモークサーモンに適した鮭を聞き、天然モノの脂身が少ない方が良いだろう、ということで鮭を買いました。買ったのは丸々1匹、7200円。いい値段はしますが、それだけ出す価値はあります。ただ流石に一から全て自分で捌くのは技術的に無理なので、お店の方にお願いしました。
築地市場は豊洲に移転しましたが、こちらの昭和食品はまだ築地で営業中です。ここの鮭はどれもおいしいのでお勧めです。オンラインショップもありますのでよろしければどうぞ。
2.皮剥と骨取り
鮭を塩漬けにする前に下ごしらえをします。3枚におろした鮭の骨と皮をとります*1。
まずは背骨を取ります。買った鮭は少し凍っていたため、ぬるま湯で軽く氷を溶かしてから、背骨を手でつかみます。力を入れて、ゆっくりと引っ張ると背骨が取れます。多少の身は気にしないで取りましょう。
背骨を取り終わったら、次は身の中にある骨を取ります。手で取るのは大変なので、骨取りピンセットで取ります。この作業は手作業で一つ一つやらないといけないため非常に面倒なのですが、ここは頑張りましょう。スモークサーモンは舌触り・歯ざわりが重要です。ここで骨が残っていると食べてる最中に骨が刺さって感触が悪くなってしまいます。
骨を一通り取り終わったら、次は皮を取ります。身をひっくり返し、鮭の身の端を持ち皮と身の境目を探り当てたら、少しずつ慎重に力を入れて皮を剥いでいきます。最初は大変ですが、次第に力の加減を覚えれば皮だけ取ることができます。もし皮に身がついていたとしても、そんなに気にせずに大丈夫です。理由は、この皮と身を美味しく食べる方法があるからです。
3.ソミュール液を作って鮭を塩漬けにする
下ごしらえが終わったら、塩漬けにするためのソミュール液をつくります。ソミュール液の材料は以下の通り。
- 水:1000ml
- 赤ワイン:600ml
- 塩:100g
- 砂糖:10g
- セージ(粉末):小さじ1杯
- ローレル(葉):4枚
- コショウ:適量
材料をバットに入れて混ぜ合わせたら、鮭を静かに入れます。
写真は3枚程度入れた状態です。これをラップして冷蔵庫に入れ、丸々1日漬け込みます。
番外編:なんちゃって鮭ハラス飯
ここで先程の皮を食べることにします。まず、背骨に付いている身を包丁やスプーンなどでそぎ取り、オーブンに入れます。
これを20分程度焼くと…
こんな感じに焼き上がります。
後は炊きたてのご飯に混ぜ込めば、
なんちゃって鮭ハラス飯の完成です。これでご飯4合程度あります(ところどころ米に色が付いてるのは、玄米と白米を混ぜて炊いているからです)。普通に食べて良し、おにぎりにして良し、茶漬けにして良しの万能飯です。ぜひお試しください。
スモークサーモンづくりに戻ります。
4.塩抜き
1日ソミュール液に漬け込んだら、塩抜きをします。ソミュール液から鮭を取り出し、適当な容器に入れて、水を静かに入れて塩抜きをします。
この時、水を直接鮭の身に当ててしまうと、塩抜きの味にムラが出てしまう、身が崩れやすくなるなどの弊害が出てしまうため、流水には直接当てないようにします。
1時間程度行えば、塩抜きは完了です。
5.風乾
塩抜きが終わったら、キッチンペーパーで鮭の表面についている水を軽く拭き取ります。この後風乾を行いますが、日中に外に干しているとカラスに食われてしまう危険性があったりします。
というわけで、前回と同じくピチットシートを使って風乾の代替とします。
ピチットシートは、脱水もしてくれる上に魚の味をしめてくれる優れものです。身をピチットシートでしっかり包み、冷蔵庫に入れます。
8時間経ってピチットシートを外し、キッチンペーパーで軽く身を拭いた状態です。これで下ごしらえが終わりました。いよいよ燻製です。
6.燻製
今回もスモークウッドを用いて燻製を行いますが、今回は新兵器を用意しました。
GLUDIAの燻製器です。
クラウドファンディングで商品化が行われていたのですが、「3分で燻製ができる」という謳い文句に惹かれて支援しました。
使い方は、まず本体にノズルを取り付けて、製品上部の穴が空いている場所にスモークチップを入れて火をつけ、スイッチを入れます。するとノズルの先から燻煙がでるため、
このように、ノズルを燻製器の中に入れて煙を送り込むことで燻製を行うというものです。これを今回使う理由は、煙を直接中に送ることができるため、温度を上昇させないで燻製することができると考えたからです。
鮭を吊るしました。スモークウッドに火をつけて燻製器の中に入れます。また、温度の上昇を避けるため、保冷剤もこの時点で燻製器の中に入れます。
そしてGLUDIAにチップを入れて、スイッチをオン。
鈍い音がして動きはじめました。次第に燻製器から漏れ出る煙の量が増えてきました。どうやらうまくいってるようです。
しかしほどなくしてチップが燃え尽きてしまいました。確かに煙は出るのですが、この量では長時間いぶすのには適していないようです。仕方がないので、スモークチップを追加してはチャッカマンで火をつけてスイッチをオンにして煙を入れて、という繰り返しをしました。ちょっと面倒くさかったですが、幸いにも温度は前回ほどは上昇させずに済みました。
時間の都合もあったため、燻製は2時間で終わらせ、風味を落ち着かせるために吊るします。こちらも2時間置いておきます。
前回と違って身が反るということはありませんでしたが、色が不安です。また触った感じでは、前回と同じようになめらかな食感な無いのでは、と言う感想を抱きました。ただ、ピチットシートから出した時点の感触も似た感じだったので、そもそもあのスモークサーモンを食べた時の口当たりの滑らかさは、あの脱水方法では出ないのではないかと予想していました。
赤ワインの配分を誤ったからこんな色になったのかな、と首を傾げながら、ラップして冷蔵庫にしまいました。
実食・オリーブオイルに漬ける
一日冷蔵庫で寝かせたスモークサーモンを実食します。
おや?断面はパサパサしていないぞ。少し期待して実食しました。
いける!!!スモークサーモンの感じに近い!!!
外側の食感は固めだったのですが、内側の食感はスモークサーモンのそれでした。塩加減も多少薄めではありますが十分食べられます。風味は前回よりも薄れている感じはしましたが、燻製の時間を半分にしているので、その結果と考えれば納得できます。おそらく温度管理をきちんとした上でもっと燻製をすれば、風味もより鮮やかなスモークサーモンができると期待できます。
結果としては、今回のスモークサーモン作りは、改善点はあるものの、総じて上手くいったと言っていいでしょう。嬉しいです。
ところでスモークサーモンはそれなりに保存が効くのですが、もっと保存期間を伸ばす方法があるというので試してみました。
まず、スモークサーモンとプロセスチーズをぶつ切りにしてタッパーウェアにまとめて入れます。
こんな感じになります。
ぶつ切りにしたスモークサーモンとプロセスチーズを混ぜてタッパーウェアに入れたら、オリーブオイルを注いで、
注いで、
注ぎ切ってできたのがこちら。
スモークサーモンのオリーブオイル漬けです。こうすることでスモークサーモンのスモークの風味がオリーブオイルにも移るのではという期待も兼ねてやってみました。
冷蔵庫に入れた状態。オリーブオイルが冷えて固まりましたが、常温に戻すともとに戻るので品質には影響無さそうです。今の所、パンを焼いて挟み、軽く塩をまぶして食べると美味しいことがわかっています。他にサラダの具にしたり、色々使い道はありそうです。
というわけで、あのなめらかのスモークサーモンは一応手に入りましたので、リベンジは成功と言っていいでしょう。とはいえ、燻製時間を長くすればもっと風味はでるのでは、あるいはソミュール液を改善すべきでは、と検討すべき事項はまだまだありそうです。次回はいつになるかは分かりませんが、もう一度位チャレンジしたいなぁと思います。
今回お世話になったGLUDIA燻製機。冷燻や調味料・乾き物の燻製と相性が良さそうです。使い方を覚えたので、いろいろ試してみます。楽しみです。
魚の水を抜く時はこのピチットシートが一番いいんじゃないかと思います。ムラ無く脱水できて、味も引き締まります。
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スモークチップは東急ハンズで買ったのですが、amazonには4つセットもありました。チップを混ぜて燻すのも楽しそうですね。
*1:写真撮り忘れたのが痛い…。